第12話「国から国への抗議」

次の日の昼頃―――――


「え?この国の国王が俺に?」

「えぇ、取り敢えず食事の後に来て貰えば良いそうで」


どうやらこの国のギルドが事情を説明しに魔道具で直ぐに行ったらしい。

無論、向こうの冒険者ギルドは激怒。

ま~ミューズさんは元は向こうの――――ナステア王国のギルドから来た手伝いだからプライベートな事の質問はギルドを通していないとNGだ。


それを無理くりにしつこくしたのはバルハイルの王宮騎士。

抗議されて当たり前である。


向こうナステアのギルドの代表はスキンヘッドでムッキムキな筋肉野郎だし、むさっ苦しいの苦手なんだよなぁ」

「あまり会う事は無いんですけど、そんな人なんですかあの国にあるギルドの代表」


そもそも、一介の冒険者がそんな簡単に国内にあるギルドの代表に手軽に会える訳も無いか


「向こうのヤツとは昔から同期の冒険者でしてね。アイツとは貴族の爵位を得てから互いにギルドの代表として代表会議以外会わないんですよ」

「へ~」


因みにちゃんとした謝罪は後日になるそうで、ミューズさんの元に正式のを書いた手紙が届くそうだ。


「ありゃ~あの騎士らは厳しい処罰を受けるだろうな~」

「だよなぁ~、もう街中その噂で持ち切りだぜ?・・・あっ、ギルマス~!向こうのギルド代表との話し合いはどうです~?」


ギルドの片隅にある食堂エリアで冒険者達やギルド職員が食事をしていた。


「あ~、まぁ怒られなかったよ。ギルドウチは。な?」

『うわぁ~』


バルハイルの初代国王に顔合わせ出来ないとして国王からの謝罪は必ずある。

・・・筈。


「さて・・・と、ミューズさん、行ってきます」

「お気を付けて下さい」


そう言えば祠にまだ入ってなかったな・・・・ミューズさん、の事があって


【結局、あの職員さんは謝罪の手紙を受け取る形だけで良いんですね?】

「うん。どのみち、前日に同行していた俺が直接出向くからね」


ギルドを出て中央区画に向かう。


「この国の城は確か害のある意志を通す事は出来ないんだっけ?」

【えぇ、そのまま王城へ向かう転移魔法陣を利用すれば悪意ある者は魔の森の中心に飛ばされるとかなんとか】


小説で確認した事ある。

絶対生きて帰れないヤツだ、ソレ


【まぁ、ある程度生き残れるでしょうけども】

「皮肉交じりだなぁ~」


まぁ、実際の所・・・そう言った魔法陣は役所が管理しているそうで。

今からその役所に向かっている。


「手続きは然程難しくはないでしょ?」

【ですね。ノブさんの場合は・・・また別でしょうけども】


・・・そうだ、アレ聞いてないな


「ダークエルフって実際の所、エルフ達との関係ってどーなの?」

【あ~、気になっちゃいます?】


結構ラフな感じに聞き返してきたな

これが打ち解けたってやつか


「ウン、結構気になる」

【そうですね、ノブさんが考えてる通りだと思います。大昔までは】


成程、やっぱりか


「おっ、あの大きい建物が?」

【えぇ、役所ですね。行きましょう】


目的地に着き、手続きをしに中に入る。


「ん?なんか騒がしいね?」

【みたいですね】


どうやら貴族と役員との間で揉めている様だ。


「まだ時間が掛かるのか?!」

「向こうの管理側からの連絡がまだでして。もう暫くお待ち下さい」


何かが起きたのか把握する為、別の仕事をしていた役員に声を掛けた。


「すいません。コレ、なんかのトラブルで?」

「!!!」


役員さんは直ぐに奥の部屋に通してくれた。

入った部屋の先にちょび髭な男性が座っていた。


「・・・!スマン、用が出来た。またこちら側から直ぐに折り返す」

「どうやら、向こうの転移魔法陣でトラブルが?」


電話を終えて受話器に置いたその男性が咳払いをする。


「私はこの国の市役所を纏める市長でアルバレノ・ロバートと申します。そちらの仰る通りです」

「マジか」


市長のアルバレノ氏が言うには、ナステアからギルドマスターが来訪して来たそうだ。

怒りの形相で。


「もしかして・・・向こうのトラブルって」

「えぇ、向こうとこちらの転移魔法陣が繋がっていましてね」


その転移魔法陣は片方が故障して機能しなくなるともう片方の転移魔法陣は動けるものの転移魔法があまり発動しないそうだ。


「・・・ここぞとばかりに役に立つ職の人って雇っていたりは?」

「専門の魔道具技師ならこの国に居ます・・・が、私が知っているその者は王宮でのいざこざの所為で今回みたく、トラブルが起きるまで暫く点検等を拒否されましてね」


あ~、もしかして


「あの王宮勤めの騎士ですか」

「おや、御存知でしたか」


やっぱりか


「簡易的な転移魔法陣は?」

「あります。ですが、なにかと古いので誰も手軽には扱えず」


古すぎるのは却って危険だもんね


「ここぞと言う時に魔道具技師の出番ですね・・・良い事思いついた!」

「何かご提案が?」


アイツに念話をしよう


「おーい、聞こえてるかー?」

【主様?どうかしました?】


取り敢えずメラミアに念話をする事にした。


「―――って事でその魔道具技師に頼み込んでくれないか?」

【あ~、ランバルディスさんっすか?大丈夫っす。ウチでも結構世話になってたんで】


そう言えば、向こうでも魔道具を活用してるんだっけ?


「ウチの仲間の一人に頼んだんで直ぐに簡易の方使えます。それまでにあの人達をもう少し説得して貰っていいですか?」

「お任せを!」


あ、そうだ


市長アルバレノさん」

「なんでしょう?」


とある提案をしてみる。


「それは・・・!有難い!直ぐに動きます」

「お願いします」


市長アルバレノ氏が急いでロビーに向かった。


【上手く動くと良いですね】

「勿論とも」


この後、王族が謝罪会見を開く事態にまで進む事になった。

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