第11話「来訪者の子孫」

転移した先は――――


「お?早速来たか」

「そのようですね」


俺の予想は当たっていた。


「どうも、メラミアは居ます?」

「えぇ。メラミア!」


修行?していたらしいメラミアが来た。


「すっ、すいません。今汗まみれで」

「大浴場に行ってきな。ホラ」


俺はそう言って小袋を渡す。


「あざっす!行ってくるっす!」

「うん、行ってらっしゃい」


メラミアがその場を離れた。


「で・・・お二人の名前を聞いても?」


二人は頷き


「私が暗殺ギルドの請負人、そして彼女メラミアの雇用主だったライカンと申します」

「うむ。私はこの国、バルハイル王国の千代目の王――――ヴォイガン・テスタロッサ・バルハイルである」


【世】の名はもう無いのか


「初代さんと同じ世界から来た来訪者のノブユキと言います。宜しく」

「「此方こそ」」


二人に挨拶をし、そして座椅子に座って会談を始めた。


「――――成程、それで私の先祖のルーツを見に」

「えぇ、あの案内人は本当にいい仕事をしていますね本当に」


因みにミューズさんは別室で待たせている。


「昔は私の先祖も当時田舎だったこの国の人達と開墾をしたりして親睦を深めたとされましてね。この先の祠で確認をしに行きまして」

「成程、ではあの祠は来訪者かその子孫であれば反応する仕組みで?」

「どうなのかはわかりませんが・・・また試してみなければわかりません」


って事は――――


「この後、行っても?」

「えぇ、大丈夫です」


そして話は当時の戦争についてだった。


「そう言えば・・・聞いたんですが・・・健常の来訪者が来た事でその来訪者を目的としたこの国以外の多国との戦争があったと言うのは本当で?」

「えぇ、私もそれを祖父母から聞きましてな。事実を確かめに祠に行って体験しましてね」


と言う事は・・・・大体事実って事か


「で、結局二代目以降は情報秘匿を駆使したと」

「そう言う事です。この事実は案内人から聞いて貰っている通りです」


当時は頼れる国が他に無かった為、自力で他の来訪者を呼んでは戦争を止める事に協力を求めたりしたそうだ。


「50代目の国王の時代にやっと戦争は一旦集結しましてね」

「ほ~、結構大変だったとお聞きします」


その場の二人は頷く。


【この暗殺者の方・・・ダークエルフですね】

「(へ~、確か、魔法が闇属性か魔属性を扱う代わりに他の属性が使えないって言うあの?)」


間にアインさんが言葉で割って入って来た。


「(そっか、ダークエルフもエルフと同じで長生きだからその戦争を知ってるんだな)」

【当時の魔王軍はこの国の500代目の国王と和平を結んでいます。確か、破棄が確定するのは双方の何方かが裏切った時に限りだとか】


成程。


「さて、貴重な時間を用意して頂きありがとうございます」

「いえ。此方こそ。初代国王の住処の見学をしてくれて助かる。誰か一人でも憶えていてくれると有り難いんだ」


そうなのか・・・


「さて、この後は適当にブラブラしようかと思ったんですが・・・ライカンさんの管理する暗殺者ギルドに興味がありまして」

「!!!」


この人、めっちゃいい笑顔になるじゃん


「是非とも!ウチに興味がお有りでしたら何時いつでもメラミアに仰って下さい」

「うん、助かるよ」


そうだ


「(アインさん。暗殺者ギルドって確か物騒なイメージしかないよね?)」

【元はそうですね。でも、来訪者の関りがあったおかげでああいった低姿勢対応なんだと思いますよ】


納得した。

確かにこの人は純粋な子供の目をしている。


「じゃ、今回はこの辺で」

「有難う御座いました。おい、誰かいるな?城下町まで送って差し上げなさい!」


待機していた騎士と何故かイケメン騎士にナンパされていたミューズさんが戻って来た。


「あ~、なんかすいません。話が弾んでました」

「そ、そうですか。それは何よりです」


凄い疲労が溜まってんじゃん


「(へい、ギルマス。ミューズさんに休暇を許可してあげて貰っていい?)」

【どうかなさったので?】


数分後―――――取り敢えず、ギルドに着いた。


「お疲れさん」

「ギルマス!」


冒険者ギルドに到着後、ギルドマスターに報告をする事になった。


「へ~、あたしは爺様から聞いたからアレだけど。良い経験えたかい?」

「勿論です。因みにミューズさんは騎士の方々に囲われて対応に追われて疲労困憊でしたよ」


俺がそう言うとギルマスはぎょっと驚く。


「だっ、大丈夫かい?!」

「は、はい。この国の王宮騎士は皆凄いですね」


詳しく説明をし、ギルドの借りている部屋にミューズさんを入れて休ませた。


「悪い。このギルドでも同様に職員として扱えるんだが・・・元はキミが最初に来たあの国の出身でね。そこで元々働いていたから派遣って形になるんだ」

「あの制度ってそ―言う事なんですか」


って事は・・・


「今回はアタシの方で向こうのギルドに事情を説明しておくから君も休みな」

「そーします。そんじゃ」


自分が借りている部屋に戻る。


「で、アインさん、どうだった?」

【この国の騎士の一部、少し問題が大ありですね。その事も踏まえて我々がこの国に抗議しましょう】


どうやら、波乱な問題が起こりそうな予感・・・・!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る