第10話「歴史のある見学」
さて、何日目か忘れたけどいい朝日だ
「主様、主様。今日は何を?」
「ん?あぁ、今日はギルドに頼み込んで見学しに行くんだよ」
暗殺者の一件以降音沙汰無しだったが・・・ギルドはとある人物に目を付けたらしい。
まぁ、俺に対して暗殺者をまた仕掛けてくるような事はもう無いから安心するけど
「・・・メラミアは別の雇い主から俺の観察を頼まれたんだっけ?」
「っす!」
メラミアは笑顔で頷く。
「成程、あっそうそう。その人に関しては俺が近々会いに行くって伝えて貰っていい?」
「私がっすか?!」
彼女は数秒間黙り―――
「判ったっす。伝えておくっす」
「うん、宜しく」
メラミアが先に元の主の元へ行った後――――
「って事でメラミアに自分の不在中に連絡して貰ってもいいですか?」
「それなら勿論です」
ギルドマスターに頼み、後は――――
「ミューズさん、見学の方お願いします」
「判りました。では行きましょうか」
裏手にレンタル馬車があり、それを利用して目的地に行く事になっている。
「では御者さん、お願いします」
「あいよっ!」
馬車は動き出し、街道に出た。
「しかし、あの御屋敷はこれと言った特徴は余りなく・・・途中で飽きる事がありますが・・・」
「国造りの歴史はしっかりと学ぶべきだよ」
俺だって歴史が好きだ。
一番。
「そうですか・・・初代様も随分とお喜びになります」
「そっかな?」
二人で笑顔になる。
「―――――着きました。ここがバイルハイルの初代国王、ミュウゼン一世が最初に建設なされた屋敷になっております」
「お~、昔の屋敷って藁と粘土を固めて作ったレンガで作ったのか」
何故か故郷の昔にやった建築の基本に見える。
まさか・・・・
「(アインさん。【
【判りました】
すると、自分の考えは正しかったかのようにとある辞書の一文を発見した。
「あの~、すいません。質問良いですか?」
「はい、どうぞ」
見学先の
「その初代国王って転移して来た方ですか?」
「おや、国王の出自をご存知ですか」
えっ、大当たり?!
「因みに初代国王陛下は魔夏真っ盛りな南国の出身だそうで」
「(アメリカ合衆国のどこかかハワイかな?)」
様々な場所を案内して貰った。
「初代国王陛下は元々心臓の弱い御仁だったそうで、建国するまでの期間は隣国のパステアから魔法医を派遣して貰いまして、それで魔導手術で心臓の病は完治したそうです」
「(心臓の病気は直したとしても寿命は延びない筈・・・あっ、アレか!)」
前にアインさんの今後についての事で寿命云々みたいなのを話していたな・・・
「
「えぇ、よく御存知で」
ガイドさんが言うには国民からの声も多々あったそうだ。
「また何かあっては彼の国王の身が持たないと感じた忠臣の方々は精力的に動いて解決に導いたそうですよ。あっ、因みにその忠臣の方々はあちらの居間で会議をしていた事もあるそうです」
「へ~、大広間なんだ」
中は和室になっていて畳が20畳以上にも広い空間だった。
「元は宴会にも扱う場所だったそうで。この展示場にはないんですが・・・外側にはこの建造物の隣に温泉も用意していたそうですよ」
「(やっぱり日本大好きな障害者じゃないか。嬉しい限りだな)」
この後も数ヵ所見て回った。
「次に、この瓦屋根の屋敷です」
「見た感じは・・・・ふむ、次の代でリフォームしたのか」
藁屋根の屋敷から造り直したらしい。
次の見学場所は隣接していた瓦屋根の白塗り壁塗装のレンガの屋敷の様だ。
「初代様は雨避けの心配もなさっていたので、後から転移して来た健常な来訪者の女性がこの建造物を提案したそうですよ」
「成程」
どうやら転移してくるのは障害を持たない健常者もいるそうだ。
「(いろんな転移者居るんだね)」
【ですね】
暫く黙って聞いていたミューズさんが質問をしてきた。
「あの、我々ギルドが古くから聞いたのが・・・体や内部の欠損のある来訪者のみにしか聞かされていないんですが・・・」
「あぁ、多分それは昔にあった戦争が原因ですね」
どうやら国絡みの戦争とその二人の来訪者が切っ掛けで色々あったようで―――
「今では私のような案内人やごく一部の方々のみにしか情報が行き渡っていませんし」
「な、成程」
後は図書館みたいな場所でそう言うのを探して調べるしかないか
「次に行きましょうか」
「「お願いします」」
瓦屋根の屋敷の中に案内して貰った。
「戦争が終結した後、お二人は御結婚し、この屋敷で暫く過ごしていたそうです」
「成程」
そう言えば・・・
「(過剰な人達が誕生したのって何代目辺り?)」
【この国の国王が50代目になって以降です】
結構歴史は続くもんだ
「―――と、この屋敷の後は・・・彼方に見えます、あの居城が初代国王陛下が部下達と共に建国しまして。当時80代だそうです。ご子息にお孫様、そして曾孫様もその時に確認はされています」
「じゃ~、今の国王陛下は」
案内人が頷き
「此方へお越し下さい。ここから先は」
「現国王と―――――アイツの雇用主だな」
そう直感で答えて先に進んだ。
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