第9話「取り敢えず、近寄って来る人は警戒する方がイイ」

新しい拠点となる場所で依頼を受けた後―――


「不審者?」

「えぇ、ギルドでも元冒険者のギルド職員が見回りしては居るんですが・・・襲って来る事も無く職員や冒険者を見かけてはその場から姿を消すらしいんです」


ミューズさんからその話を聞き自分も常に周囲を警戒しなくてはと気を引き締めている。


「不審者は夜間に目撃されるらしいですね」

「みたいだね~」


よし、万が一の時はアインさんに登録して貰った強力な拘束の魔法を使うとしよう


「確か、顔を隠していてどんな人かわからないんだよね?」

「えぇ、確かにそう言ってましたね」


不審者みたく、取り敢えず近寄って来る人は警戒する方が良いかもしれない。


「念の為に索敵を自動で使える?」

「既に使用しています。従来の索敵より敵が見つけやすいですよ」


そして数秒後―――――


「・・・居るね」

「居ますね。ざっと10人・・・?」


取り敢えず念話をギルドに送ってみる。


「(ど~も~、ギルド長。何人か手の空いてる人居ます?)」

【えぇ、どうかなされましたか?】


状況説明を手短に済ませた。


「(―――って事なんで、何人か捕縛に来てくれます?)」

【判りました。其方で足止めお願いします】


・・・さて、


「【魔導本タブレット起動スタンバイ。無魔法【遅延罠トラッパー発動スタート

「・・・来ますッ!」


相手との距離が近づき―――――


「――――っ?!」

「うん、問題無く発動したね」


周囲の不審な格好した連中は多分ギルドで警戒していたのとは別で何者かが指示をだしたってやつだろう


「で、ギルドで何もしてこないってのは――――」

「おそらく、この女の子ですね」


やっぱり


「スマン!遅れた!」

「あ~、丁度良い」


事情を説明し、連中に関しては自害を無力化する魔法を全員に施した。


「後、雇い主が分からない場合は自分を呼んで下さい」

「判った。協力感謝する」


女の子の不審者に関しては縛った状態で担いでギルドの一室を借りる。


「成程、我々が扱っていた不審者の目撃の呼び掛けの件はこの子が・・・」

「知ってます?お二人は」

「私、知っています」


別の職員がそう言って間に入って来た。


「メラミアさんの担当?」

「個人ではありませんが担当はしていました」


メラミア・ポップルさんと女性職員が彼女の名前を教えてくれた。


「被害は出していないけど不審者扱いだもんな~・・・」

「それなら俺が面倒を見ましょうか?」


悪い子ではなさそうだし、何かありそうだ


「宜しいんですか?」

「うん、丁度一人でやる事もこの先ないだろうし、あくまで手伝いとして来てもらう形で」


不審者の様に動いていた暗殺者のメラミアは後日――――


「じゃ、よく観察してメモしてから休憩後に色々と聞いて行くからね」

「判りました、主様」


何故か懐いて来た。

それも、ただの懐きではなく、健全な主従関係のような感じの。


「――――と、こんなもんかな」

「ふむふむ・・・・」


取り敢えず動きを見て貰い――――数分間休憩しながら話を始めた。


「基本職である盗賊の上位職、暗殺者の基本はあくまで観察。判るか?」

「勿論です。細かく言えば分析、解析の二つが暗殺者の主」


俺は頷く。


「(元の世界での培ったゲーム脳が結構役に立つわ、コレは)その通り。暗殺者はあくまで相手の弱点を見破ってから動かないと結局失敗するんだ」

「確か、弱点の看破を先しないと先手を許してしまい、結局手を尽くして敗北してしまうんですよね」


メラミアは観察力は鋭い方かもしれない。


「しかし・・・主様はこの世界に来てまだ半年程なのに深く理解していますね?」

「そうかな?(あれ?そんなに経ってた?)」

【結構経ってますよ】


あっ、そうだ


「(アインさん、彼女にも姿を見せる事は出来る?)」

【出来ますよ】


取り敢えず一旦王都街に戻る事にする。


「そうだ、序に君に伝えたい事があるんだけど・・・良いかい?」

「何でしょうか?主様」


メラミアにアインさんを見せる事にした。


「えーっと、もしかして?」

「えぇ、私はこのお方の一生涯の"サポーター01"。名を【アイン】と。よろしくお願いしますね。メラミアさん」


取り敢えず、メラミアには事情を説明する。


「成程、でしたらこの国に来て正解でしたね」

「と言うと?」


メラミアが言うには他の国では自分のような来訪者(てんいしゃ)に対して過剰に信仰するような国が存在するらしい。


「勿論、来訪者様のご命令一つでその国は動く事もあるそうですよ」

「ア~、あの国ですか・・・」


メラミアが言った後にアインさんが項垂れていた。


そう言えば、そろそろ―――――

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