第8話「疑問に思う事は直ぐに聞いてみよう」

アインさんから簡単な答えが出た。


「【私達もその先は分らない】が正解ですね」


アインさんは続け様に答えた。


「要は役目を終えた私と同族のサポーターの場合は役目が皆無な状態に戻るだけです。私以外で役目を終えたサポーターは上層部の判断の元、自由が与えられるだけなので」

「へ~・・・ん?でもさ、アインさんみたいなサポーター達って"サポート"をするって言う役目を持ってるからこそそれを仕事として全うしてるんだよね?だとしたら――――」


自由を得たサポーターは何をすればいいのか全く以て判らないと疑問に思う筈。


「それが結局の所の答えですね。現に私も貴方との契約を終えて独りになって自由になった場合は何をしたらいいのかわかりませんから」

「そーなんだ」


だったら・・・・


「長命になってみようかな」

「不老や不死にならない可能性もありますが・・・宜しいのですか?」


その時はその時だと自分は思える。


「まっ、その時はその時さ。別の方法をその歳から考えるのも悪くはないかな」

「そうですか、でしたら私も、もしもの時の備えをしますね」


次の国――――バイルハイル王国は初代国王のミュウゼン・ヴァイン・バイルハイル一世がたったの一人で建てたとされる古民家の屋敷から始まった国だそうだ。


「へ~・・・あっ、あそこ見学出来るみたい」

「先にギルドに寄ってから見学に行きましょうか」


冒険者ギルドに足を運ぶと―――――


「!!!」

「ん?」


女性の職員がカウンター横の扉から出て来て小走りで俺の所に来た。


「お待ちしておりました。ここではなんですのでギルドマスターの部屋までお越し下さい」

「あっ、ハイ」


職員の案内でギルドマスターの部屋らしき場所に通された。

待ち構えていたのは、女性のギルドマスターだった。


「よう、お前さんが件の英雄様かい?」

「どーも、ノブユキです」


取り敢えず、笑顔で接してみた。


「「!?」」

「どうしました?」


挨拶しただけなのになぜか二人は目が点になり冷や汗を掻いていた。


「・・・・彼に冷たいお茶を頼む」

「かっ、かかかか畏まりました!!!!」


身嗜みを整えたギルドマスターは低姿勢になり、近場に居た職員に指示を出して退席させた。


「先程は不遜な態度で接してしまい、申し訳ありません」

「(しっかりと胸元締めてから態度変えたね?)」

「(笑顔の圧が原因ですよ)」


圧が出てたか


「いや、大丈夫ですよ。それより、自分がここに呼ばれる理由を聞きたいんですけど」

「あぁ、そう言えばそうでしたね」


低姿勢なギルドマスターが言うには――――自分にサポートしてくれるギルド職員が着く事になっているらしい。


「あ~、そっか。ギルド職員ってどこに居ても直ぐに対応してくれるんだ?」

「えぇ、だいぶ昔になりますが・・・」


昔の転移者は固定のギルド職員のみでなければ行動を拒否する程にその人が決めた職員以外の職員は拒んでいたそうだ。


「それって・・・」

「えぇ、その職員はエルフで貴方のような来訪者が亡くなるまで献身的なサポートをしてくれたそうで、そのエルフのギルド職員を当時のギルドマスターが首にしてしまったんです」


それでその転移者は暴走してギルドが半壊したらしい。


「ギルドはやっと復興を果たしたそうで、当時のギルドマスターは来訪者の気分を害したと言う事でギルドの職を永久剥奪と国の裁判で判決が下されまして」

「成程、で、その来訪者の機嫌を落ち着かせる為にそのエルフの職員を復職したと」


当時の来訪者に関して魔族も認知しているらしく、白旗を上げたそうだ。


「歴代来訪者に関してはまた創造神さんに聞くとするか」

「それで・・・ですね、他の国のギルドから貴方へギルドサポートを申し出ていまして」


待たせているのか


「それじゃ~呼んで貰っても?」

「判りました。入って良いぞ!」


華やかな雰囲気のギルド職員が入って来た。


「彼女はミューズ。貴方が最初に居た国のギルド職員でして」

「ミューズ・アトランティカと申します」

「ノブユキ・サクマです。宜しく」


ミューズさんは笑顔で対応してくれている。


「冒険者に関しての事の対応の殆ど・・・で、あってます?」

「えぇ、主に一対一の対応を。困った時の相談等も受け付けております」


サポートをしてくれるアインさんの副次的なサポート提携を行う感じか


「成程、因みに行き詰った場合の相談も?」

「勿論、受け付けております」


何だろ、メガネをクイッとする学校の風紀委員長みたいな感じに見える。


「判りました。それじゃ~・・・何かサインとか必要ですか?」

「そうですね、今後何かしらの間違いが無いようにしたいのでやっておきましょう」


ギルドマスターそっちのけで二人で話を進める。


「―――あっ、そうだ。第三者も必要だと思うんで、ギルドマスターお願いしても?」

「えっ?あっ、あぁ私で良ければ」


取り敢えず話は終わり――――外に出たら夕暮れだった。


「・・・見学は明日で良いか」

「ですね」


取り敢えずお勧めの宿屋を探したが・・・どこも開いてなかった。


「―――それでしたらギルドの食堂利用しましょうか。遅くまで依頼を熟す冒険者も居るには居るので」

「へ~、有難いです!」


この国の冒険者ギルドは大体民泊や飲食も兼ねている。

一室を借り、そのまま寝泊まりする事にした。


一方で―――


「――――様、ご報告があります」


何かが動き始めようとしていた。

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