第5話「放浪途中での出来事①」

大公公爵家から出てギルドに戻る。


「すんませーん!依頼完了しました~」

「ノブさん?結構時間が掛かったんですね?」


冒険者と言う仕事柄なのか、まだ出払っている様だ。


「実は――――」


先程まであった事を話す。


「成程、そう言えばこの国に来るのは初めてなんでしたっけ?」

「えぇ、たまたま拾ったお金でこの国に入れたので」


今いる国はアインさん曰く、規制が緩いらしい。

なので俺が王都に居るような情報は外の田舎の村から来たと言う設定にした方が信憑性の方が一番良いと判断したまでだ。


「そうですか・・・でもまぁ大公公爵閣下の庇護下と言う事なら安全ですね!この国では訳アリな人でも多少は迎い入れる事の方が多いので」

「そうなんですか?」


これで正式に免許在りの冒険者として活動する事が出来た。

あの三つの依頼は一括りの依頼らしく、仮免許ランクから直ぐに卒業出来る程度らしい。


取り敢えず他の依頼も受ける事にした。


「スカイダッグ・・・アヒル・・・?」

「元の御世界の似ている動物であれば・・鴨に似ていますね」


アインさんがそう言う。

そもそも低ランクでも受けれる依頼ではあるが、誰も依頼を受けないヤツらしい。


「魔物の割に依頼と見合わないヤツか」

「かもしれませんね。冒険者は常に死と隣り合わせなので・・・ですが流石にこの依頼は・・・」


魔物攻略に関しては【魔導本タブレット】に頼らずに書物を漁ってみるか


「すいません、この依頼って期限とかは?」

「そのままですと残りは三日か四日ぐらいですね。期限はそれ位です」


成程、多少のお金稼ぎは―――依頼規定数を大幅超えたら・・・になるかな?


「わかりました。ありがとうございます」

「いえ、お気を付けて行ってらっしゃいませ!」


目的地の―――平原へ行く事にする。

その前に―――


「門番さん!お仕事お疲れ様です!」

「おっ、冒険かい?気を付けてね~」


門番さん達は良い人達だ。

治安維持に積極的に動いてくれそうだ。


「で・・・来てみたは良いけど――――」

「居ませんね、この時期であれば繁殖多忙で結構な数になる筈なんですが・・・」


目的地の平原に来たものの、目的の魔物が一匹も見当たらない。


「一旦ギルドに戻る?」

「そうですね、戻りましょう」


ギルドに戻った俺は受付の人に事情を話した。


「――――って事でして」

「それはおかしいですね・・・この時期であれば繁殖に勤しむ事が多いんですが・・・もしやっ!」


ギルドが慌ただしく動き始めた。


「そこの君は騎士団の元へ行って団長か副団長を呼んできてくれ!」

「分かりましt――――」

「たしか、大公閣下は騎士団の団長ですよね?」


僕がそう聞くとギルドの職員は頷く。


「そうだよ。あの大公閣下は腕前が良いしこの国の人達からの信頼が厚いからね」

「そう言えば、君は確か大公閣下のお父君の屋敷の掃除をしたんだってね?」


僕はその人達に知り合って覚えて貰っていた。


「ふむ・・・分かった。君に任せて良いかい?」

「任せてください」


一方で――――


「何?平原によく出てくる魔物が一匹も現れない?それは本当か?」

「えぇ、先刻程、大旦那様のご依頼を完璧に熟したあの青年がギルド経由で連絡をしてきましてね」


話を聞いたゲイザー大公は屋敷の中で少し慌ただしく準備を始めた。


「直ぐに騎士団に連絡を!キミはギルドに連絡を入れなおして承諾の旨を伝えてくれ!」

「畏まりました、直ちに」

「直ぐに動きます!」


こうして、国を揺るがす事態が国全体に把握されたのであった。

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