第13話
日曜日の夜10時
テストも終わり今は家のベットの上でゴロゴロしている。
ここ数週間は夜でも机に向かって勉強をしていたために中々しっかりと休むということがなかった。母親も自分が急に受験時と同じように勉強を始めたため、満足げだ。
頑張った
今の自分は、胸を張ってこの言葉を言える。
受験時は今回のテストよりも頑張ったためにあの時の自分を盛大に褒めてあげたい。やはり自分はやればできるのだ。朝比奈さんにも言われた。今回のテストでその自信が確固たるものになった。これも大きな一歩だろう。
そんなことを考えていると机の上のスマホがなった。
こんな時間に誰かが電話をかけてくるなんて今まで無かったため、不思議に思いながら画面を見ると、相手は朝比奈さんだった。
急にかかってきたことと、相手の名前でえ?!と、変な声が出てしまった。
だって朝比奈さんと電話したことなんて前に、朝比奈さんの家に行った時くらいだし、こんな夜に電話してくるなんて思わなかったからだ。
待たせるのも悪いので通話ボタンを押すと、画面には朝比奈さんの顔が映し出された。
やばい、死ぬ。
画面上の朝比奈さんはパジャマと思われる服を着て、すっぴんの状態だった。てかなんでその格好で可愛くいられるの?
「あ、湊君?見えてますか?」
「見えてるよ・・・」
朝比奈さんがカメラを起動しているため自分もカメラを起動したが、中々に恥ずかしい・・・
だって今は部屋着だし、外にも出ていないから髪の毛もぼさぼさだし・・・こういう時に朝比奈さんや、翼のように顔が整っている人が羨ましくなる。
「急に電話をかけちゃってすみません」
「別に大丈夫だよ。どうせゴロゴロしてたから。」
「ならよかったです。少し湊君の声が聞きたくなって・・・」
そんな可愛すぎる理由で電話をかけてきた彼女に対して俺は何も言えなかった。
「せっかくかけてきてくれたし、何かお話しする・・・?」
「そうなんです。湊君に聞きたいこともあったんです。まだ聞けて無かったので聞きたいんですけど、テストの手ごたえはどんな感じでしたか?」
まあその関係の話だとは思っていたが、思ったより直球に聞いてきたな。
「結構手応えあるよ。特に数学は今回はめちゃくちゃ取れていると思うよ。」
正直に答えといた。別に嘘をついていないし良いだろう。
「それは頼もしいですね。私も教えた甲斐があったって物です。」
「本当にありがとうね。朝比奈さんに教えてもらわなかったら、今頃めちゃくちゃ苦しんでることになったと思うよ。俺なんかのために・・・」
「感謝は受け取りますが、湊君が自虐をするのは違いますよ。頑張ったのは湊君じゃないですか。湊君は私と勉強しているときも凄く集中してやっていたし、お家でも自習をしていたのを知っていますよ?なので今回、湊君が自信を持てているのは湊君の功績なんです。自分を褒めてあげてください!」
朝比奈さんは凄い笑顔で、言っていた。俺はマラソン大会の時に自分が彼女に対して言った言葉を思い出した。自分も彼女に対して今のような言葉をかけたことがある。彼女は自分の言葉を忘れていなかったのかと、嬉しくなった。
「うん、ありがとう。朝比奈さんにそういってもらえるのが何より嬉しいよ。」
「分かったようなら、大丈夫そうですね。あ、話していたらもうこんな時間ですね。すみません急に電話をかけて、こんな時間まで付き合わせてしまって。」
「全然大丈夫だよ。それじゃあ今日はもう終わろうか。おやすみ」
「はい。ありがとうございました。おやすみなさい。」
俺は通話終了の赤いボタンに手をかける瞬間に、一言だけ小さな声でつぶやいた。
「絶対に告白するから・・・」
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