第11話

「だって今湊君がやっている問題はテスト範囲じゃないんです。」


「え!?」


素直に驚いた。だって朝比奈さんが俺に教えるときに、『この問題ひっかけ問題が出る可能性が高いので気をつけてください。』とか言ってたじゃん!さも当然かのように教えてたじゃん!


「なんでテスト範囲外のところやらせたの?」


「今回のテスト範囲は湊君殆ど完璧なんですよ。正直私も信じられませんでした。でも湊君はやっぱり頭は良いんですよ。普段からしっかりやらないだけで、やる気になればできるタイプですね。ていうかテスト範囲確認していなかったんですか?」


範囲外をやらされていた事に文句を言おうと思ったけど、そこを突かれると何も言い返せない。だって朝比奈さんが教えてくれるから確認しなくても良いかなって思ってたんですよーだ!まじですみませんでした・・・


「範囲外の問題をやっていた事についてはもういいや・・・どうせ期末にはこの問題をまた勉強することになるもんね。でもなんで朝比奈さんは、範囲外の問題を教えることができるの?範囲外っていうことはまだ授業では満足にやっていないでしょ?」


いくら頭が良くても授業で教わっていない事を人に教えるなんて、教科書見れば分かるなんて言うのだろうか・・・


「高校の範囲はもう大体理解しています。それも三年間分です。」


「・・・・」


言葉が出なかった。予想していたより凄い答えが返ってきたな・・・


「朝比奈さんって結構やばい人だったんだね・・・」


「やばいってなんですか?!どういうことですか!」


まあ言葉の意味通りですよ。

俺はこの人に本当に釣り合う人間になれるのか、覚悟を決めたのに、その覚悟は少しだけゆらいだ。

朝比奈さんは赤い顔をしながら言葉の意味を問い詰めてきた。

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