第10話

俺たちの勉強会は順調に進んでいき、しっかりと毎日放課後に勉強会をしてテスト範囲内の理解度は高まっていった。

朝比奈さんお手製のテストを金曜日の放課後にして、それに合格点を貰うことができればその教科のテストで、赤点を取るということはないだろうということで、今はそのテストを受けているところだ。


「朝比奈さん・・・?」


「なんですか?」


朝比奈さんは自分の勉強のために、ノートを見ながら返事をしてくる。


「このテスト難しすぎじゃないですか?」


「これくらいできてくれないと困るのは私なんです。湊君に頑張って貰わないと私は振られてしまうということになってしまうので・・・」


「・・・分かりました。頑張ります。」


「頑張ってください。湊君ならこのくらいの問題なら絶対に解けますよ!近くで見ているので安心していてください。」


朝比奈さんは発言はとても優しいが、顔は圧を前面に出しており、絶対に合格しろということだろう。

最近朝比奈さんは俺にだけ、素の部分を出してくる時が多くなった。いつもの丁寧な口調、所作は変わらないが、遠慮が無くなったというよりしっかりとした友達という距離感になれた気がした。

彼女の期待に答えるためにも全力で挑むことにした。


最初の方の問題は計算問題、その次に図形の問題、長文の穴埋め問題、そして最後にグラフの問題という感じのテストになっていた。彼女はこのテストを一人で作ったのか・・・と関心をしながら俺のためにここまでしてくれたのかという、感謝が同時にきた。


最初は難しいと思ったテストも、案外とすらすらと解けていった。先週の朝比奈さんのスパルタ指導がしっかりと身についているようだった。そしてテストは30分ほどで全問解けることができた。


「やっぱり、湊君って地頭はいいんですよね」


「え、そうかな。今までそんなこと言われたり、感じたことなんてないんだけど。」


「湊君は普通に頭は良いと思いますよ?だって湊君が今やっている範囲って実はテスト範囲外なんですよ。」


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