2023年4月15日(土)『当たり前に不公平な』

 どこの業界でもそうだと思うのだけれど、ビジネスソルジャーというものは年度末は大変バタバタしていて乗り切るだけで精一杯、ふと気づけば4月になっている。1月から3月というのは通常の3倍の速度で過ぎていく。もしかしたら赤いのかもしれない。


 しかし年度初めはその反動なのか比較的暇があり、いつもより少しだけナイーブな考えごとをする時間も生まれる。

 仕事というのはよいものだ。仕事に追われていれば、考えても仕方のない、漠然とした不安から目を背けていられる。

 

 元気があれば何でもできるというのは結構真実味のある言葉だ。ぼくのまわりでは、やはり元気のある人が上手くいっているように見える。元気があり、強気であり、加えて計算高く合理的というのはビジネスで成功する典型パーソナリティの一つだろう。もっと上に行けば違うのかもしれないけれど、そこに辿り着くにも一定の成果は出さないといけないわけで。


 社会は元気のない人に冷たい。ステレオタイプなのは承知で書くけれど、繊細な人、引っ込み思案な人、自分に自信のない人はたとえ根っからの善人であってもどうにも不遇であるように見える。きっとコミュニケーションの上で足切りラインのようなものがあり、わかりやすい元気さがないとそもそも評価のステージに上がれないのだろう。


 みんな忙しいのだ。仕事もプライベートもどんどん足切りをする。取引先で明るくハキハキ話せる人を評価するし、飲み会でユーモアを振りまける人を友人に選ぶ。わかりやすい評価基準と、即効性のある人間関係。


 だからこそ、繊細な感性は、書き残さなければならない。可能な限り人目に触れさせなければならない。それはきっと社会に必要なものだ。面と向かって他人と心の話ができる機会は多くないけれど、文章なら届けられる。


 笑いを取れる人や明るくハキハキした人が社会に必要なのと同じように、繊細だったり悩みが多かったりする人も必要だ。そうでなければ世の中は薄っぺらなものになってしまう。どうしたって人生には苦悩も痛みも含まれるし、それらを語る言葉があるから、ぼくらは人生の難事に立ち向かえるのだ。人々が明日を迎えるために、どこかで誰かが似た苦悩と戦っていることを知るために、気弱で繊細な人が必要なのだ。


 多様性というのは本来そういうことも含むはずで。

 エリート達が掲げる偽善的なお題目、という印象以上の意味がある概念なのだろう。




 ……ぼくはというとそれほど元気でもなければ繊細な感性があるわけでもない中途半端な人間なので、そろそろ限界です。誰か助けてくれ。


 

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