第8話 熱

うぅ〜〜ん。今は何時だろう?スマホを見ると、6時31分と書かれていた。体が少しだるいが無理やり動かし、キッチンに行った。


(おはよう。どうしたんですか?顔が赤いですよ?)


「ちょっと、体がだるいだけです。大丈夫ですよ。」


(大丈夫じゃないですよ!熱があるんじゃないですか?測ってみてください!)


俺は体温計で熱を測った。37.6度あった。微熱だ。


「37.6度ありました。微熱です。」


(37.5度以上は微熱じゃないですよ!とりあえず、今日はもう寝てください!)


「はい。」


俺はベットに向かい、横になった。


………2分後………


(はい、イナリ。冷えピタとお水。)


「ありがとうございます。あの、冷えピタは自分で貼れますよ。」


(病人は安静にしていてください。はい!貼れましたよ。)


「ありがとうございます。気持ちいいです。俺、眠たいのでもう寝ますね。お休みなさい。」


(お休み。)


―――――――――――――――――――――――


イナリはあの後すぐに眠ってしまった。昨日は熱が伝染る場所に行っていない。なのに、熱がでた。つまり、昨日のサクラさんの部屋で伝染った可能性が高い。そうなると、サクラさんも熱を出している可能性がある。

私は一応、サクラさんに会いに行った。


(こんにちは。)


『は〜い。』


予想通り熱を出しているようで、フラフラしていて、顔が赤い。


(大丈夫ですか?)


『今朝、起きたら体がだるかったんですよ。多分、熱があるんじゃないですか?』


(サクラさんもですか。)


『サクラさんって、どういうことですか?まさか、イナリさんも?』


(そうです。熱を出していて、もしかしてと思って来てみたら、サクラさんも熱を出していたんですよ。)


『コマチさんは大丈夫なんですか?』


(私は平気です。一応、これでも大狐なんですよ?私は病気にかかりません!)


『なら、良かった。帰って、イナリさんの看病してあげてください。』


(サクラさんも熱があるんだから、休んでいてください。私が、家事をしておきますから。)


『悪いですよ、そんなの。』


(困った時はお互い様です。)


『………。ありがとうございます。私はもう寝ますね。』


(ちょっと、待って。はい。冷えピタです。あと、お水です。)


『ありがとうございます。じゃあ、家事をお願いしますね。』


「は〜い。」


サクラさんもすぐに眠ってしまった。

サクラさんの洗濯物を干してから、私達の洗濯物を干して、朝ごはんを食べた。イナリ用のおかゆとサクラさん用のおかゆを用意してから、読書をした。そんなことをしているとイナリが起きて、


「おはようございます。コマチさん、なにか食べるものないですか?」


(そう言うと思って、おかゆを作っておきました。持ってきますね。)


「ありがとうございます。」


私はイナリにおかゆを持って行った。


「わぁ〜。美味しそうですね。いただきます。」


(はい。あ〜ん。)


「いいですよ。あ〜ん、しなくて。さすがに、自分で食べることぐらいできますよ。」


(病人は大人しくしていてください。あ〜ん。)


「あ〜んは、さすがに恥ずかしいです。」


(フフフッ、恥ずかしがることない。人間誰しも、誰かに頼らないと生きていけない。つまり、私にあ〜ん、されても恥ずかしがることはないです!)


「………。もうコマチさんが、あ〜んしたいだけでは?」


(……。ソンナコトナイヨ。)


「本当ですか?」


(イナリ、疑うならおかゆはいらない、ってことでいいんですね。)


「うっ!おかゆは欲しいです。」


(なら、黙って私に、あ〜んされなさい。)


「………。はい。」


私はおかゆをイナリにあ〜んして、食べさせた。


「ごちそうさまでした。」

「あの、新しい水をください。」


(わかりました!)

(はい!)


「ありがとうございます。それじゃあ、もう一度寝ますね。お休みなさい。」


(お休み。)


イナリが眠ったあと、サクラさんの部屋に行った。  


(お〜い。サクラさん。おかゆ持ってきましたよ。)


『………。ありがとうございます。ちょうど、お腹空いてきたんですよね。それじゃあ、いただきます。』


(はい。あ〜ん。)


『そんな、あ〜んしなくてもいいんですよ。て、言うか、してもらっていいんですか?』


(あ〜んぐらい、いくらでもしてあげますよ。)


『!!』

『ありがとうございます。』


私はサクラさんにも、あ〜んしておかゆを食べさせた。


『ごちそうさまでした。じゃあ、私は寝ますね。お休みなさい。』


(お休み。)


私は部屋に戻り、おかゆの後片付けをしてから読書に戻るのだった。

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