第5話 サクラさん

………、ほぁ〜。あくびが出てしまった。

時計は6時12分を指している。今日は、休日だが早く起きてしまった。二度寝をしようか悩む。

う〜〜ん。


(うやぁ〜〜。おはよう。)


「おはようございます。早いですね。」


(あれ?6時に起きようと思っていたんですけど、少し遅かったですね。)


「早起きなんですね。俺は、6時に起きたら二度寝しますよ。」


(早く起きたら、起きただけいいことがあるかもしれませんから。そろそろ、朝ごはんの用意をしますね。)


コマチさんが起きたので、俺も起きることにした。

着替えてから台所に行くと、もう朝ごはんができていた。その時間、約5分。


「おぉ〜。美味しそうですね。」


(美味しそうじゃなくて、美味しんですよ。)


「(いただきます。)」


「うん。見た目通り、美味しですね。」


(フッフッフ。そうでしょ、そうでしょ。)


「!!」

「………。コマチさん、この卵焼き殻が入ってますよ。」


(えぇ〜。そんなことないと思うな〜。)


「本当です。ほら。」


(うやッ!本当ですね。ごめんなさい。)


「いえいえ、こちらこそ作っもらっているのに文句を言ってごめんなさい。」

「おこがましかったですよね。」


(そんなことないですよ!これは私のミスですから。)


「…………。なんか、お互いに謝り合ってもきりがないですね。」


(そうですね。フフッ。)


「……、ハハハッ。」


(フフフッ、なんだか面白いですね。)


「そうですね。」


俺とコマチさんは、お互いに笑いあった。


「ハハッ、ごちそうさまでした。」


(ごちそうさまでした。)

(イナリ、今日は休日だけど何するの?)


「今日は、ゲームをしようと思います。」


(ゲーム?)


「今の娯楽用品の一つです。」


(そうなんですか。楽しいですか?)


「それはもちろん!」


(なら、私もやってみたいです!)


「いいですよ。でも、Joy-Conあったかな?」


(ジョイコンとは、なんですか?)


「ゲームをプレイするためのコントローラーです。」

「えぇ〜っと、あっ!ありましたよ。」


(これが、ジョイコンというものですか?)


(とても、ボタンが多いですね。)


「全部で、12個あるはずです。あと、スティックがありますね。」

「それぞれ、A・B・X・Yと▲・▼・◀・▶、L・ZL・R・ZRです。それとスティックは、左側にある方がほとんどのゲームでキャラクターを動かすスティックで、右側にある方が画面の方を動かしたりするスティックです。」


(えぇ〜っと?)


「実際に使うのは、A・B・X・Y・L・ZL・R・ZRボタンと左スティックがほとんどです。」


(わかりました。)


「じゃあ、ゲームをプレイしましょう。」


俺は、ゲームをテレビにつなげた。


(おぉ〜!テレビがゲームの画面になった。)


「この方が見やすいでしょう?」


(そうですね。どのゲームをするんですか?)


「対戦ゲームです。」


そう、俺が選んだゲームはス○ブラだ。


(イナリ、私が勝ったらプリンを買ってね。)


「じゃあ、俺が勝ったらしっぽといつもは遠慮している狐耳も触らしてくださいね。」


(イナリだけ、2個のお願いをしてませんか?)


「ソンナコトナイヨ。」


(ふぅ~ん。じゃあ、私もプリンとシュークリームを買ってくださいね。)


「わかりました。ただ、勝ったらですよ?」


(負けませんよ。)


………2分後………


(ゲームがこんなに難しいなんて、思っていませんでした!)


「約束通り、しっぽと狐耳を触らしてくださいね。」


(待って!あれは、負けると思ってなかったんです!来ないで!うやぁぁぁ!)


バンッ!


『うるさ〜い!』

『………。もしもし、警察ですか?今、少女が襲わ……』


「ちょっと、待ってください!」


『嫌です!!そんな、かよわい少女を襲ってたんですよ?通報しますよ!!』


「誤解です!!誤解!!」


『どこが?』


「えぇ〜っと、そのぉ〜。」


『ほら!』

『やっぱり!やはり通報します。』


「どうしましょう。」


(私に任せて!)


そう言うと、コマチさんは隣人に近寄って行き、


(安心してください。イナリは私を襲おうとはしましたが、それはしっぽをモフるためです。)


『そうなんですね。イナリさん?早とちりして、すいませんでした。』


「いえ、こちらこそ傍からやばい奴ですから。こちらこそ、うるさくしてすいませんでした。」


(よろしい!)


『あなたの名前は、なんて言うの?』


(厶ッ!私は、あなたより年上ですよ?)


『そうなんですか。ごめんなさい。』

『もう一度聞きます。あなたの名前はなんて言うんですか?』


(私は、狐舞神コマチ。50年生きる、大狐です!)


『へぇ〜。大狐なんですね。だから、若い見た目をしているんですね。』

『あっ!私の自己紹介がまだでしたね。』

『私は、霊空レクウ 咲楽サクラです。サクラと呼んでください。基本的にいつもゲームをしています。』


「そうなんですね。俺は、幽楽ユウラ 稲荷イナリです。イナリと呼んでください。」


『一つ質問してもいいですか?』


「いいですよ。」


『イナリさんは、コマチさんとどのような関係なんですか?』


「いきなり、直球できますね。えぇ~っと、どのような関係といまれると困り……」


(私は、イナリの妻です!)


『そうなんですね。優しいですか?』


(とっても!)


『フフッ、それは良かったです。イナリさん、素敵なお嫁さんをもらいましたね。』


俺は、どうしょうか悩んでいると、コマチさんから「そうですね」と、言えという威圧感を感じたので、


「………。そうですね。」


(サクラさん、お腹空いてませんか?)


『いえ、そんなこ……』


グゥゥゥ〜


『………。はい、空きました。』


(そうでしょ。どうぞ、中に入って。)


コマチさんは、サクラさんに遅めの朝ごはんを用意した。


(どうぞ、全部食べていいですよ。)


『ありがとうございます。』

『!!』

『とっても、美味しいです。最近は朝ごはんを食べないことが多かったんで、美味しいです。』


………10分後………


『ごちそうさまでした。』

『美味しかったです。じゃあ、帰りますね。さよなら。』


「(さよなら。)」


サクラさんは隣の部屋に帰っていった。


「なんだか、面白い人でしたね。」


(そうですね。なんだか、真面目のような、不真面目のような感じでしたね。)


「じゃあ、俺はコマチさんのしっぽと狐耳をモフっていいですか?」


(うやッ!覚えてましたか。仕方がない、モフっていいですよ。)


「やったぁ〜!!」


俺は、コマチさんのしっぽと狐耳を満足するまでモフるのだった。

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