第11話


みかは、火事で旦那を亡くすと、有り余る旦那の遺産で、娘となったミカとふたり暮らしを始めた。


幼いミカにしっかりと母親を努めながらも、時にはみかとミカ…女同士の関係も育んでいった。


幼いミカが学校から帰ると、学校の勉強より、もっと大切な事だからと料理や掃除、洗濯…家事を教え、ミカが興味を示したものには、何でもやらせ、応援した。


勿論、習い事の強制はしない。


始めた習い事に嫌気がみえたら、辞めても文句は言わなかった。


「女はワガママでもいい…だけど人には敬意をはらいなさい」


みかは他人に対する敬いには、非常に厳しくミカを躾けた。


そして、みかは自分のこれまでの話を包み隠さずミカに話す。


自分の誤った人生をミカにはそうならないように…。


ミカはみかの人生に憧れを持つが、それは本当は不幸だったと、みかから諭され、何故、ママは間違えたの?


ミカはみかにそう訊づねると、それは本当に愛したひとりの男を手放したからと言った。


「それって、ママの話に良く出てくるsamって人の事?」


「うん、そうだよ。私からsamの元を去ったんだよ」


「なんで?」


「そのうち話してあげるよ」


そう話すみかの瞳は、母でありながらも、女の瞳だった。


そして、みかはsamの事をミカに話した。


子供のミカが恥ずかしくなるような話もいっぱい話した。


話すうちに、みかとミカは互いに女同士になっていく。


そして、ミカはみかに包まれ成長していく。


本当の血の繋がりある母と娘より、互いに認め合う母娘となった。



「sam…もう、私もsamって呼ぶわよ」


「samかぁ…懐かしいな…しばらくsamなんて呼ばれなかったからな」


「sam!!」


「なんだい?」


「呼んでみただけ」


「なんだいそりゃ…しかし、やっぱsamって呼ばれるのはシックリくるな…」


「sam…よろしくね」


ミカはsamの首に両手を巻きつけ、目を閉じた…。


「うん、よろしくね」


「違う!!そこは優しく私にキスでしょ?」


「あはは、ミカは怖いなぁ」


samはミカにキスをした。

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