恐ろしき司令塔の戦いぶりは
「あのモニュメント、いくつあるのかな」
「邪神を封じているくらいだから、……たくさんあっても不思議じゃない、かな?」
今回ので三つ目だが、まだあと二十ありますとかだったら嫌だなぁ。
次の部屋が最後だろうと思われるので、皆、魔石やポーションで十分にMPや闘気を回復しておく。
通路を戻って、扉の前に立つ。
「みんな、準備はいいか?」
「OK」
扉を、開けた。
広い部屋の壁一面にたくさんのモニターが並んでいる。
そして中央に、超巨大な機械が鎮座している。パソコンをいくつもつなぎ合わせたかのようなフォルムだ。
ごつごつとした無骨な表面に光が走り、モニターに連動しているかのような雰囲気だ。
モニターには、ダンジョン内部だと思われる映像が映っている。
こいつが、司令塔で間違いないな。
観察し、考えていると、司令塔が大きなうなりをあげて形を変え始める。
戦闘モードに突入したといわんばかりの変化だ。
ミサイル発射口や、ブレスするためのアームが三本も出てきた。胴体の上に出てきた突起は、きっとレーザーあたりを撃ってくるに違いない。
あの機械兵を操っていた司令塔だ。よほどすごい戦い方をするに違いない。俺らのデータもしっかり入っているんだろうし、な。
まずは軽く俺とヘンリーが攻撃……、って、結構ダメージ入ってる感じだぞ。
司令塔がプレスアームで俺らを潰そうとする。的確な攻撃を予想して身構えてたが、なんだかランダムにガンガンやってる感じがするぞ。
それでも攻撃範囲は広いし、動きも速いからリンメイやラファエルが食らってたりする。
大技が飛び出してくる前になんとかしたいところだ。
新しく手に入れたブーストガントレットの能力も使って、司令塔の弱点を深く突く。
司令塔が、バグを起こした機械が出すような不規則な電子音を響かせて、ミサイルを連射した!
こいつ、追尾機能付きか。何度かかわして、叩き落す。
亜里沙も回避、ヘンリーは防御して耐えている。魔法組は防御魔法に守られていてダメージはほぼなさそう。
亜里沙とヘンリーが攻撃を加え、俺もそろそろ様子見を終えて本格的に大技を仕掛けようかと考えながら短剣を急所に突き出すと……。
司令塔の稼働音が、表面を走っていた光が、消えた。
え? ……え?
「終わり……?」
身構えたままの亜里沙が、きょとんとした顔だ。
壁のモニターも消えている。ってことはマジか。マジかー!
「なにこれ、弱すぎアル!」
「今までの戦いは何だったんだ!」
「せっかくMPと闘気フル回復したのに。魔石返してっ!」
みんな笑い転げている。俺も笑いを抑えきれない。
「あっさりしすぎていて腹が立つので、モニターも破壊しましょう」
ヘンリーが珍しくはっちゃけている。亜里沙ものっかってる。
二人が立てる破壊音をBGMに部屋を探索する。ゲートはきちんとあった。よかった。
その隣にメッセージカプセルがあった。
『この機械が周りの機械に指令を出していたのだろう。なんだろう。いやな予感がする。早く奥へ行かないと、取り返しのつかないことになる気がする』
リアのメッセージだ。
メッセージからしてリアは司令塔を倒してこのメッセージを残したのだろう。
奥の封印を守るために機械がまた「配置」されるまでが数日、ってわけじゃないと思う。もっと長い時間がかかるんじゃないかな。
だとすると、……やっぱり、リアは「昔の人」なのだろう。
実は次の日にはもう機械は直ってるし、魔物も新たに出現する、とかだと話は違ってくるけれど。
そんなことを考えてたら、モニターを破壊したヘンリーと亜里沙がすっきりした顔でやってきた。リンメイとラファエルもついてくる。
俺らは本部へのゲートに乗って、帰還した。
(File09 恐ろしき司令塔 了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます