敵も頭使ってきた
罠を解除して先に進む。
次も部屋で、縦横大体二十メートルぐらいか? また右の壁に扉が、二つ見える。
ここには敵が配置されていて、ロボットが四体と、俺らの間で「メカ忍者」って呼ばれているタイプの大型ロボが一体いる。
データ収集と検索はいつも通り。
「メカ忍者のデータがあったよ」
メカ忍者はシノルーブ。俺が持っているスキルの『霞隠れ』と『加速』を持っていて攻撃を当てにくい。攻撃は両手の殴りと、飛び込み攻撃だな。
攻撃方法はシンプルだけど、回避が高いのが厄介だな。
「基本的には今までの戦術で。ダルテットの数を減らしていこう。メカ忍者は最後でもいいだろう」
「りょーかい」
罠があるかもしれないので最初の一歩は慎重に。
その間に、ロボ達がこっちにやってくるんだけど。
連中、散開してやがる。俺のところに突っ込んできてくれたらよかったのに。
適度な距離を取ってビームを、ラファエルに撃っている。これではラファエルが攻撃魔法の詠唱に集中できない。
俺はまるっきり無視されている。攻撃しても当たらないと判断されているのか?
だとしたら、ずいぶんタクティカルに戦うようになったな。
まぁいい。無視するなら背後を取らせてもらうだけだ。
ダルテットに短剣で斬りつける。そこそこダメージは通っているんじゃないかな。
ラファエルは強力な魔法はあきらめてリンメイ達のそばで詠唱時間のほぼない補助魔法を唱えている。
ヘンリーと亜里沙もダルテットに攻撃を仕掛けている。
メカ忍者が『加速』を発動したらしく、動きがさらに速くなった。バグか? ってぐらいに残像残して動き回ってる。幸いなのは攻撃が単調で、俺らもヤツの攻撃を回避やガードするのにさほど苦労しないというところだ。
ならば肉体的に弱そうなのを狙ってやれとでも考えたのか、リンメイの式神、ドドメスにジャンプ攻撃を仕掛けてきた。
ドドメスはまさか自分にくると思っていなかったようで「にゃ!?」と短い鳴き声を発して、……攻撃を食らっちまった。
「ギャ~~~ッ!! やめるアル~~!!」
殴られたドドメスよりリンメイの悲鳴の方が強烈なんだが。
ダルテットの攻撃も地味にきつい。俺は回避できるがラファエルやリンメイが狙われると彼らは回避しづらいし、ガードしても防ぎきれるわけではない。瞬間的に防御力を上げる補助魔法や、回復魔法で二人のMPがどんどん減っていっている。
あんまり長引かせるわけにいかないな。『崩壊の赤眼』を発動してロボ達の弱点に短剣の刃を突き立てていく。
頭の中で「世界を壊せ」という声は相変わらず響きまくってて頭痛がひどい。スキルが強力になるにつれてHPを削るほどにさいなまれる。
美坂さんが結界とかを破壊している行動がまさに「命を削る」ものなのだと実感できる。
狙われ続けることに疲れたのか、ラファエルが連中の攻撃範囲から逃げていく。一人で離れていって大丈夫かと心配したがロボ達は今度はヘンンリーに照準をあわせたようだ。
攻撃力が高い、範囲防御の外で戦っている、回避能力は低い、ガードはできるけれど攻撃を防ぎきれるわけではない、って感じだからな。これは俺のヘンリーの評価だけど。
集中攻撃を受けると途端にヘンリーのHPも減り始める。
こいつら本当に戦略的だな。
あ、ラファエルにメカ忍者が向かってったぞ。ラファエルが部屋の入口の方まで逃げていく。
メカ忍者の背後から短剣で突くが、あっさり回避された。
くそっ、同じスキルを使われてかわされるのって普通に回避されるよりむかつくっ。
戦闘が、長引いている。こっちに決定的な攻撃力がないからだ。
奥義『炎竜波』を使ってもいいのだけれど、敵がまとまっていないとMPの消費量のわりに一体しか倒せないという非効率な攻撃になってしまうからな。
ラファエルの範囲魔法を「一発屋」と揶揄ってたけど、あれはあれで結構役に立ってたんだな。
戦闘開始から十分近く経っただろうか。ようやくダルテットを全部破壊して、メカ忍者を囲む。
「もういい加減にやられろアル! 『鈍足の枷』」
リンメイが闘気をも消費して動きを阻害する魔法をかけて、メカ忍者の動きが止まった。
チャンスだ! ヘンリー、亜里沙、俺が次々に切りかかる。
やっと倒れた。
しばらく部屋の中にみんなの荒い息遣いだけが残った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます