第9話
学校へ行った俺は
どことなく、いつもと違う違和感を感じたのだが
それが何か分からないまま
1時間目が始まった
ふと、斜め前を見ると
橘鈴音さんが目に入った
鈴音さんは、密かに俺が想いを寄せる女性なのだ
ある日、俺は寝坊して遅刻をしてしまい
先生にめちゃくちゃ怒られたのだが
普段、遅刻など絶対にしない鈴音さんも
俺の隣で怒られていたのだ
後から、友達の藤原に聞いたのだが
通学途中で怪我をした犬がいたらしく
通学途中という事もあり
気にはなりながらも誰も助けようとしなかったのだが
そんな中で、鈴音さんは
怪我をした犬を抱えて
学校とは逆方向の動物病院まで行ったらしい
怪我をした犬を助ける鈴音さんを見ていないのだが
そんな心優しい人がいるんだ
とそれから気になっているのだ
鈴音さんを見ていて気がついたのだが
なぜか制服が汚れていた
また、動物を助けた時に汚れたのだろうか?
と思ったが
他の生徒も服が汚れたり
中には破けた制服を修繕して着ている生徒もいた
制服が汚れたりしている生徒は
パッと見た感じだが全体の3分の1くらいの数だ
1人や2人だったら
まだ、何かしら理由を付ける事が出来るかもしれないが
さすがにこれは、おかしい
1限目が終わり
仲が良かった藤原に話をしようと近寄った時だった
急に2人のクラスメートが立ち塞がり
「藤原様に近寄ろうなんて何という事をするんだ!」
と近寄る事を邪魔して来たのだ
「えっ?何を言ってるんだ?
俺は、ただ藤原と話をしたいだけなんだ」
と言ったが
邪魔をした2人もだが
他の生徒達までも
コイツ、信じられないと言った感じで
俺を変な目で見ていた
藤原というと
「たまに、変な輩が付け入ろうと寄ってくるんだ
ほっとけ!」
と言い残し教室を出て行ってしまった
唖然としていると
俺の隣を鈴音さんが通って行ったのだが
その時に、また目を疑う光景を見てしまった
他の女子生徒のカバン持ちをしていたのだ
そのカバンを持たせて先導する生徒は
御影雫と言って
普段は、教室の隅で本を読んで過ごしている
どちらかというと、ちょっと暗い感じの女の子だったのだが
今日は、自信たっぷりに
堂々と廊下を歩いていた
わけが分からないまま
2時限目のチャイムが鳴った
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