第38話 恋のディスタンス

恋のディスタンスだったかな。確かフランスかドイツの映画だったと思うけど、もしかしたらイタリアの映画だったかもしれない。

高校生ぐらいの男の子が卒業旅行か何かで一人旅に出るんです、そして列車に乗ったら少し前の席に座ってる女の子がすごく可愛くて、好きになってしまう。男の子はナンパなんかしたことのないタイプなので、彼はいろいろ悩んで照れながらも、なんとか女の子の席に近づいていって声をかけるんです。ナンパに慣れていない男の子だから、とてもぎこちなくて、しらけた感じのナンパが始まる。女の子の態度が問題だが、女の子は初めそっけない感じだった。その男の子が特に好きでも嫌いでもないという感じだ。現時点では男の子が時々気弱になってやっぱり諦めるかなと思ったりするんだけれども、その女の子が可愛いので何とか話をしてこの後の旅を君と一緒にしたいんだ、みたいなことを彼女に伝えていくんですね。

男の子はきっと断られるだろうなと思って諦めかけるんです。 そして女の子はこういう時女の子がよく言う「どうして」って聞いてくるんです。男の子は困ってしまうんですが。なんとか君が可愛いからだよとか言うわけです。女の子は少し意地悪なのか、またなぜ私のことを「可愛いと思ったのな」とかまた聞いてくるんです。男の子は困ってしまって色々言うんだけど、結局君みたいなタイプが好きなんだよ僕は君みたいに髪の毛が綺麗で「優しそうな人がいいなと思ったんだ」とかいろんなことを言います。女の子は彼が答える度に笑ったような感じなんです。まあこうして見てみると完全に女の子のペース、男の子は完全に負けてます。だからきっと軽くあしらわれて終わるのかなと思うと、意外にも女の子は思いの外簡単にいいわよと軽く答えて一緒に次の駅で降りてくれるんです。でもよく考えてみてください、初めて会った男の子とこんなに長い間女の子が喋ってくれるのはもう、OKのサインなんです。本当にその男の子が嫌いだったら初めから話はしません、無視して終わりです。この女の子はいろいろ質問なんかしたりして男の子をちょっと困らせるぐらい話す。その時点でもう女の子は、この男の子としてもいいと思ってたんです。ホテルの部屋で彼が最終的に思いを遂げた後で彼女に聞くんです。いつセックスしてもいいって思ったのって。そうしたら女の子が言うんです。最初からよって。初めからもう OK だったんです。男の子が電車に乗ってきて女の子と最初に目があった時、その時に彼女はもういいと思っていたんです。しかももっとはっきりしているのは女の子が男の子と一緒に列車を降りた時。もうそれは最後までいいわよと言う女の子のサインです。だから分かっていなかったのは男の子だけだったという結果的にはめでたしめでたしという映画なんですけどね。


僕にも昔この話と似たような話がありました。その子はまだ高校を卒業したばかりで、卒業した途端に電話してきて「今病院にいるから迎えに来て下さいって言うんです」 何故、とも思ったけど、昔は全く女の子に慣れてなかったので、まあ仕方なく可愛かったからまぁいいかと思って車で迎えに行ってあげたんです。

 そしたら彼女はちょっと緊張した顔をして車に乗り込んで来て、今考えると少し頬も赤くなってたような気がするんですけど。そして彼女が前から行きたがっていたハンバーグステーキ屋なんかに行って一緒にランチを食べたんです。彼女は黙って食べていました、美味しいねとか言いながら。でも楽しく食べて送って行って近くの公園の駐車場に止まったんです。そして僕は彼女の指を見てみたくなって(僕は女の子の指に興味がある人なので)ちょっと指を見てもいいかなって、言ってちょっと手を触ったんですね。そしたら彼女は「えっ、今さら」って言うんです。僕はそれまで彼女には触ったりしたことがなかったからもっと早く触ってくれればいいのにみたいなこと言われたんです。「病院に迎えに来てくれた時、もう良かったのに」「嫌だったら電話で迎えに来てなんて言わないわよ」と彼女は言うんです。18になったばかりの女の子がですよ。今日卒業してきたばっかりの。

僕はバイトとはいえ教師みたいなものでしたから、そんなことできないなと思ってたんですけど。彼女は勉強も良く出来て、いかにもお嬢様という感じの奇麗な子でした。考えたら電話をしてきた時点でもうOKだったんでしょうね。でも僕は真面目というか臆病なので、その頃の僕はまったく分かっていなかったので、その子をホテルに連れ込むこともなく。ちゃんと家まで送り届けました。今思うと全く馬鹿みたいですよね。18になったばかりの彼女の方が良くわかってて、ずっと先まで行っている。結構そんなもんです。ちなみに僕はその頃もう30を超えていました。 

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