第16話 知人へのインタビュー3
「嫌いだよ、あんなやつ。まじで心底嫌いだわ」
現在ライトノベル作家として活躍するその男は、手につけた金色の指輪を光らせながらそう言った。
「とにかくムカつく野郎だった。デビューしてからもずっと俺の先を行きやがった。ただ俺もやられっぱなしなわけじゃねえ。アイツに単巻部数で買ったことがあるんだわ。まあ、どう考えても完勝ではねえけどよ……ほんとムカつく野郎だぜ、何から何まで俺をイラつかせやがる。何よりムカつくのは勝ち逃げしやがったことだがな」
ふう、と椅子に深く腰かけ大きく足を広げるその男。
インタビュアーが、「彼もアナタのことを良きライバルと思っていのでしょうね」と言うと。
「ああん?」
その男は、インタビュアーを睨みつけた。
「バカか、てめえがアイツを分かったように語るんじゃねえよ。アイツはもっと訳のわかんねえやつなんだよ。ずっと意味わかんねえ所見て、そこに向かって真っ直ぐ進んで行ったわけのわからんやろうだ。本人がどう言うかは知らねえが、アイツは本当の意味では誰もライバルと思ってなかったろうぜ……ああくそ、言ってて俺が眼中にもなかったみたいでイラついてきたな。おい、酒飲むからお前ら付き合え。いいバーボンが手に入ってよ。お前らにも飲ましてやる」
そう言って、男は戸棚から高級そうなワイングラスと年代物のバーボンを取り出したのだった。
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