サイクリング車とプール3
一応プールに来てみたのだが・・・時間はもう3時を過ぎていた、本来、こんなトラブルがなければ、今頃は十分遊泳を楽しんでいたはずだったのだが。
とりあえず、入園料を払い、水着に着替え、プールに入ったのだが・・・もう遊泳する気力がない。まるで銭湯に来て冷たいお風呂に入っているようだった。プールサイドに水深50センチメンタルのところには、座れるような段差が有るのだが。そこに座ってボーッとしていた状態だった。
そして、いままでの事を思い出し、だんだんイライラして、手のひらでプールの水面を激しく叩いた。かなりの水しぶきが上がり、近くいた人はかなり驚いていた。
それを見ていた監視員が、笛を鳴らし・・・
「オラー、そこのガキ、何やってるんだ-!!他の人に迷惑だろうが!迷惑行為をするんだったら出ていけ-!!」
かなりの罵声を挙げていた。
どうやら監視員も、いやな事があってイライラしていたようだった。
自分はもう遊泳する気力も無いので、もう帰ろう。明日から来るのはもうやめよう。と思い、わずか20分足らずでプールをあとにして帰宅した。
帰宅した時、まだ4時前だった。母親は・・・
「もう帰ってきたの?・・今日は早いわね!」と・・・
「明日からもう行くのやめるよ!」
そう話すと・・・
「なんでよ?何かいやな事があったの?」と・・・
母親は、行く前のトラブルを忘れていたのか、それとも、とぼけているのか。そういう感じがした。
「あんなに揉めていたのに、・・・もうイライラして、お金も投げつけてきてたのに・・・」と言ったのだが。
「何よ?そんな事した覚えないわよ。・・・何が有ったのよ?」と・・・
母親は、もう揉めていた事を忘れていたのかも。
「いや!もういいよ!!」
「それだったら。明日からも行った方がいいよ!運動をしないとだんだん肥えて来るよ」
自分は母親に説得されて。翌日からも行く事に。
翌朝、何気なく朝刊を目にした。すると、行っていたプールの写真が一面に載っていた。
プール全体の航空写真と、50mプールの写真が、その写真にバツ印まで、よく見ると、そこは、遊泳する気力を失くしてプールサイドでボーッとしていた、そして、手のひらで水面を激しく叩いたあの場所付近だったのだ。
何が有ったのか記事を読むと
「若い女性が溺れて意識不明の重体に」と書かれていた。
行った時には、そういう事故が有ったようには思えなかった。だから、帰ったあとに起こった事故なのかと思ったのだが。事故が起きたのは、1時半過ぎ。と書かれていた。
つまり、途中で入園料をもらってなかった事に気が付いて家に戻ってきたあとに起こった事故だったようだ。
その女性はすぐに病院に運ばれ、一命は取り留めたのだが。
おそらく、あの監視員も、そういうトラブルでいやな思いをしてイライラしていたに違いない。
その新聞記事を読んだ兄は・・・
「この時間、ひたすら修理に没頭していた・・・あの時間帯だったな!」と・・・
あの時は、そういう事があったのか。と思っただけだったが、今思えば。
「今まだ来るな!こういうトラブルに遭わない方がいい!!」
と言われた感じだったのだろうか?サイクリング車にトラブルを起こさせて、しばらくプールに近づけないようにされた感じがしてしまった。
完
不思議な体験 成瀬昭彦 @70nenmae
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