15

 優はいつの間にか酔い潰れてしまったようだ。今は、僕の横で机に突っ伏している。姿は村津君であるが、中身は優そのものだった。だからこその違和感を感じる。外見は村津君で、中には優と村津君の二人がいる。優のことを思い出し、再会したことはとても嬉しい。嬉しい反面、喪失感を感じていた。これから先、村津君を通して優と話すことはできても、優本人と話す機会は二度とないのだと実感する。優のことを忘れていた時には感じていなかった。あの時も何か忘れているような喪失感のようなものは感じていたが、今とは全く別物だった。今は優がいないという現実を突きつけられ、まるで絶望感のように感じている。僕にとって、優の喪失は二度目なんだ‥。一度目は記憶からいなくなった時、二度目は優の実体を失ったと知った今。

「僕はどうすればいい?ねえ、教えてよ‥。」

僕の呟きは誰に聞かれることもなく夜の闇に溶けて消えていった。後に残ったのは、僕の手元のグラスの氷が立てるカランという音だけだった。

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