第24話 体育祭開幕

 ―――7月22日


「「宣誓‼ 我々一同はスポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦うことを誓います!」」


 体育祭が始まった。生徒代表として3年生のそれぞれの団長が選手宣誓を行い、開会式は終わった。そしてこれから競技が始まっていく。


 ルールを簡単に整理すると、この学校の体育祭は学年別チーム対抗戦で行われる。つまりあくまで戦いは自分たちの学年だけであるため、他学年の同じ色のチームが負けていたとしても、他の学年には一切影響しないというわけだ。


 2年生の個人種目、全員種目の総合点を元に優勝が決まる。クラスメイト達は優勝を取るぞという気持ちで溢れていた。僕としてももちろん優勝はしたい。正史では惜しくも負けてしまってはいるが、今回は負けないという自信がある。


 僕自身もこの2週間、しっかり特訓してきたからな。戦力としては数えられないかもしれないが、少なくとも足を引っ張ることはないだろう。


 そして肝心のプログラムだが、すでに生徒たちには配られており、自分がどこが出番なのかを把握できている。競技の順は以下の通りだ。


――――――――――――――――――――――


1.開会式

2.綱引き(2年生)

3.100m走

4.ムカデ競争(1年生)

5.障害物競走

6.全員リレー(3年生)

昼休憩

7.全員リレー(1年生)

8.大縄跳び

9.全員リレー(2年生)

10.騎馬戦(3年生)

11.選抜リレー(1年生)

12.選抜リレー(2年生)

13.選抜リレー(3年生)

14.開会式


――――――――――――――――――――――


 僕の出場予定の種目は、綱引きと、障害物競走、そして全員リレー。ちょうどいい具合に出番がバラけているので、ゆっくり体を休めそうだ。


 得点の方もしっかりプログラムの方に記載されている。1つ1つの積み重ねが大事になる個人種目、そして一回で逆転の可能性もある全員リレーとどれも全力で挑む必要がありそうだ。


〇100M走、障害物競走(1位8点、2位7点、3位6点、……、8位1点) 

〇大繩跳び (1位16点、2位14点、3位12点、……、8位2点)

〇選抜リレー(1位40点、2位35点、3位30点、……、8位5点)

〇綱引き  (1位50点、2位30点、3位以下15点、5位以下10点)

〇全員リレー(1位80点、2位70点、3位60点、……、8位10点)


 特に全員リレーなんかでは、もし僕たちE組とF組で1,2位を取ることが出来れば、それだけで150点だ。それだけで他チームを引き離すことができるが、それは他のチームだってそうだ。


 例え片方のクラスに抜かれたとしても、もう片方のクラスに勝ってさえいれば、得点的は大きく差が出ることはない。いくら個人種目の積み重ねが大事だとは言っても、こうして逆転の余地があるというのは、最後まで全力を出せるいい材料だ。


「ほら、いつまでプログラムを見てるんだ。早くしないと綱引きが始まっちまうぞ」

「すぐ行く」


 久志に呼ばれ僕は、綱引きの待機場所へと移動した。綱引きはトーナメント方式で行われる。一度でも勝てばそれだけで4位以上が確定だ。絶対負けられないところ。


 僕は綱をがっしりと掴む。対戦相手はA組だ。体格の大きなやつらもいるが、綱引きは個人戦じゃない。しっかり息を合わせれば、勝てるはずだ。


 先に2本取った方の勝ちとなる。長引けばそれだけ次の試合へ疲れをためることになる。できるだけ3本勝負にならないよう頑張らねば。


「いくぞ、せーの」


 開始の合図がなると同時に塚原の掛け声に合わせながら縄を引く。力任せに引っ張っても大した力はでないので、インターネットで得た知識を元に対策をしてきた。


 体を反らし全体重を縄に掛けながら、地面との摩擦の力を使って力を倍増させる。


『パンッ』


 勝敗が決した音が鳴り響き、1戦目は勝利を掴むことができた。


「この調子でいくぞ」

「おお‼」


 続いて2戦目も勝つことができ、A組との試合は勝利をすることができた。このまま、次の試合も勝つと意気込んでいたが、所詮は付け焼き刃の知識。次の試合は3戦目まで持ち込んだものの、D組に負けてしまった。


 1位D組、2位F組、3位E組・B組という結果で綱引きは終わりを迎えた。

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