情けない勇者様

宮野 碧

第1話 私が勇者ですか?

とある世界に何個か国がありました。

魔族とかが蔓延る世界はなんやかんや平和でしたが、近年魔族が強くなってやばくね?国同士がギスギスした雰囲気になりました。

そこで「勇者生まれたから何とかしてもらうお」

という国王主導のもと、各国から3人の勇者様を援護する人が送られました。

今は勇者様の村に援護する人達が集まっている最中です。


「…嫌な勘しかしないんすけど」

半ば誘拐に近い待遇を受けた俺が馬車で呟く。

このぽけーとしたアホ面がどっかの国から送られた援護する人です。追記すると主人公です。

「弱くも強くもない微妙なのがお前しか居ないんだよ」

手綱を握っている中間管理職の男が振り向く。

何か励ましでも言ってくれるのか期待すると、

「まあ同情はしてやる。助けはせんがな!」

駄目だこいつはこんな奴だった。だからいつまで経っても中間管理職なんだよ。

露骨に不機嫌な俺を置いて馬車は止まる。

急ブレーキで前に仰け反り馬車から転がり落ちる。

「止まるんなら言えよ!」

俺の声は虚しく無視され中間管理職が華麗に馬車から飛び降りる。

「バサアッ!」

…効果音を口で言うタイプの中間管理職か。

痛い中年のおっさんを哀れみ終わると歩き出す。

「なあ、さっきの俺そんな痛かった?」

「女子学生が見たらヒソヒソ馬鹿にするくらい」

「なんだ!大したことねえな!」

鋼の精神を持つ痛い中年中間管理職のおっさん。

村の入口が見えるとこまで来ると。

「後は勝手に行け。痛い中年おっさんとは居たくねえだろ」

気にしてんじゃん。めっちゃ気にしてんじゃん。

「ありがとな!鋼の精神を持つフリをした痛い中年中間管理職のおっさん!」

「黙れ!」

別れの言葉を言うと後ろから殴りに来る中間管理職から逃げるため村へ入った。

そこには、

「お前は村の誇りだ!勇者リリー!」

「そうだ!勇者リリー!」

「えへへ、ぐへへへ」

あれ?なんか雰囲気が。

「リリー、ちょっといいかい?」

「お、お母さん!?」

間抜けな顔が母親の登場で引き締まる。

「お前は勇者になったけど、辛いとき、悲しいときは何時でも帰ってきて良いんだからね。お前は勇者である前に……」

なんだろう。この場違い感は。気にしなかったら良いんだろうがめっちゃムズムズする。

感動のシーンが流される中、物陰に音もなく隠れる。

タイミングを見て、今来ました風に出ていけば完璧だ。

我ながら頭の良さに痛感するぜ!

そう言い茂みに隠れて地面を見た。

そういえばだが、俺の能力について説明しよう!

第六感!嫌な予感とか良い予感とか〜気がするとかが3\2くらいで当たるのだ!

ちなみにだがこの村に入ってからずっと嫌な勘は鳴りっぱなしである!

そして地面の話に戻る!

なんと言えば良いんだろうか。とゆうか言いたくも認めたくもないが。

ムカデ蜘蛛蟻etcが窪みの中でセルフ蠱毒みていな事をしていた。

俺は虫が嫌いだ。そんな奴が耐えられるわけもない。

「キャアアアアッアッアッアッアア゛!」

恥じらいもなくキモい絶叫をすると村の人達が集まる広間へ飛び出す。

視線が一箇所に集まる。無論その一箇所は俺である。

「あっあっあっあ。ど、どうも、勇者様の援護で呼ばれたエリル・アリスです」

死にたい。

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