第4話*チュートリアルは突然に

 俺がこの世界について知っていることは少ない。

 何故なら、日本で言う『七歳までは神のうち』のような考えで、『十歳までは神のうち』として十歳までは何もさせてもらえなかった。


 そう、何もだ。


 文字を勉強することはおろか、会話すら許されない。

魔法や剣術なんてもってのほか。


 オートモードの時に、突飛な行動をしたのも、そうした環境に幼い心が耐えきれなかったからなのか。

 いや、オートモードに心が在るかは知らんけども。


 それも今日で終わりだ。

今日、神殿で神の祝福を受ければこの苦行から解放される。

 世話役のおばさんが”大きな独り言”で言っていた。


 この”独り言”のおかげでいくらか助けられた。

俺の今世での名前はフォスだということを知れたし、容姿が金髪に赤っぽい目だとかも知れた。


 しかし、肝心なことは『世俗的になってはいけないから』と、全く口にしない。

そこは不満ではあるけど。


 とにかく、今日が大事な日であることは分かった。

なにせ、神の祝福を受ける”祝福の儀”は家族総出で見守るもの。

つまり、あの父親と、居ればの話だが、姉や兄とも対面するわけだ。


 しかし、新しい家族が生まれたっていうのに、十歳になるまで一度も会いに来ないことから、あまり家族には期待しないでおこう。

 虐待はないと思いたいが……。


<< システム通知:チュートリアルを開始します >>


 え?


 オートモードの後にチュートリアル?


 まあ、正直、助かるから良いけど。

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