教室での一コマ
交流行事から、光さんたちとの仲も縮まり学校にも慣れてきたころに五人で昼ご飯を食べていると、一人暮らしの話になった。
「そういえば、光さんたちって実家暮らし?」
「私はそう~」
「アタシも」
「私は一人暮らし」
そういえばキャンプの時に見た、料理をしている宵さんはとても手慣れた普段から料理をしている人の動きだったから、それを聞いてとても納得した。
「雪ちゃんと蒼汰はどうなの?」
「私は、一人暮らし」
「俺は…二人暮らし」
「「「?」」」
元から知っている雪さん以外の三人の頭の中には?マーク浮かんでいるようだったので一旦このことについて説明していった。
「へぇ~」
「お姉さん、蒼汰君のこと大好きなんだね~」
ニヤニヤしながら俺を見てくる海さんがやけにうざったく感じる。
海さんは『姉弟で二人っきり……』とつぶやいているのに対して、光さんと宵さんは俺のこと抜きで姉さんの方に興味を持ったようだった。
「でも、一回あってみたいな蒼汰のお姉さん」
「面白そう」
「写真とかってないの?」
一応、持っているけど写真が写真なだけあって少し出しにくかった。
「雪ちゃんは見たことあるの?」
「うん、あるよ。入学式の時に」
「どんな感じの人?!」
「えっと、かっこいい人かな?」
どうしようか迷っていると、雪さんが言った一言で出さざるを得ない状況が仕上がってしまったので仕方なくスマホの写真フォルダーに入っているものを三人の真ん中に置いた。
「似てる~!」
「きれいな人」
「この人が蒼汰君と……ふふ」
出した写真に写っている俺が小学生なので姉さんがちょうど高校三年生だった気がする。
それは昔いった旅行でプールサイドで撮った写真だったので水着の俺が普通に恥ずかしかった。
「これ、いつの時の?」
「多分、高三くらいじゃないかな」
「ええ~スタイルいい!」
姉さんが褒められるのは嫌ではないけども、横の海さんから逃げたくなってきたのでさっとスマホをもって自分の席に戻った。
放課後、雪さんと廊下を歩いているとおそらくクラスメイトの何人かが話しかけてきた。
「なあ、ちょっといいか?」
「え、蒼汰の知り合い?」
「違うけど……」
「先生に連れてきてくれって言われててな」
後ろにいる奴らの顔からして胡散臭い気しかしないが雪さんに先に行って待っててもらうように言ってからそいつらについていった。
「なあ、この方と知り合いか?」
近くの空き教室に入ると、案の定先生はいなかった。そして、仰々しい言い方をしてからそいつらはスマホに写った軽音楽部の人の写真を見せてきた。
ギターを持った先輩ならまだわからなくもないがそこに写っていたのはキーボードを弾いている人だった。
「知らないけど……」
「本当か?」
「なんで嘘つくんだよ」
「…気をつけろよ」
そういってそいつらは静かにその教室から出ていった。
「何なんだ…?」
姉の執事じゃありません @belbera
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