交流行事 2



「あんまり、おもしろくなかったね~」


「アタシ、もうちょっと面白いと思ってたんだけどな~」


 レクリエーションから帰ってくると、時計は六時を示していた。大体、三時間くらいクラスで協力して行うゲームなどをしたがそれはあまりおもしろいとは言えなかった。


 前に、光さんたちに絡んできた人たちが今回は雪さんにも絡んできたりしてそのことで光さんが怒って……という流れで色々大変な時間だった。


「というか、なんであいつらアタシたちに絡んでくるの?めっちゃ嫌いだわあいつら」


「私も」


「というかなんだかんだ一番大変そうだったけど蒼汰大丈夫?」


 海さんが言っているのは多分、その人たちが光さんたちに相手にされなかったことを俺に対して八つ当たりしてきたことを言っているのだろう。


「まあ、一応は」


「先生、わかってるみたいだったから多分大丈夫じゃない?」


「夜は先生が見回りしっかりするらしいし」


「あぁ、もうやめやめ。お腹空いたし、ご飯食べたい!」


 よくよく考えてみれば、昼ご飯を取ってからもう結構時間がたっていたので先生たちのいるところから調味料のセットをもらってきて料理の準備をしていく。


「そういえば、宵さんって?」


「宵ちゃんは、寝ちゃった」


「りょーかい」


 さっきから姿が見えないとは思っていたがそういうことなら仕方ないので一人でご飯を作っていった。


「う~ん!おいし!」


「ありがとう」


 俺がご飯を作っている間に雪さんも海さんも寝てしまったので、光さんと二人でご飯を食べていると近くにいた班の人たちが近づいてきた。


「あれ、どうしたの?」


 知り合いなのか光さんが近くに来た時点でその人に話しかけた。


「私たちのところご飯失敗しちゃってさ、もし食材余ってたらもらえないかなって…」


「まだあるっけ?蒼汰」


「あんまりないけど、料理でいいなら雪さんたちのが残ってる」


 鍋の中にあるスープ見て大体の量を伝えた。


「海と宵ちゃんは多分起きないだろうし、いいんじゃない?」


「一応一人分は残しておきたいから、二人分しかないけどいい?」


「全然大丈夫!」


 二人分しかなくて申し訳ないがその人たちが持っていた皿に入れて渡した。


「ありがとう!」


「じゃあね~」


 


 ご飯を食べ終えたので、二人で洗い物や出たごみの処理などをしてテントのところに戻った。


「アタシ、お風呂行ってくる~」


「なら、俺も行ってくるか」


「三人とも、起きなそうだな」


「ね~」





 お風呂は大き目の温泉のようなところがあるのでそこに入ることになっている。時間は自由なうえに広いから窮屈な感じもしなかったし、時間の関係か人もほとんどなくてとても良かったから姉さんや咲さんとも来てみたいと思った。

 俺もお風呂に入ったらすごく眠くなったので遊ぶ予定だったが光さんにメールを送っておいて先に寝ることにした。








 朝、起きるとテントの外から昨日先に寝た三人の声が聞こえてくる。


「蒼汰のご飯のほうがおいしいね~」


「ほんとに、そう」


「私も」


 体がむずむずしてくるのを感じながら着替えをし終えて外に出た。


「おはよう」


「あ、おはよ~」


「おはよ」


「ご飯あるよ」


「ありがとう」


 三人と一緒にご飯を食べはじめていると、もう一つのテントから寝起きすぎる様子の光さんが出てきた。


「ぅお、は、よう」


「光、もう時間ないよ?」


「急いだほうがいい、かも」


「ご飯はあきらめた方がいい」


 時計を見てみると、集合時間の一時間前だった。鍋を返しに行く時間も考えると宵さんの言う通りご飯を食べるのはあきらめた方がよさそうだ。







 結局、光さんはご飯はあきらめて着替えや女子らしい化粧とかに時間を使うことにしたようだ。

 個人的にはすっぴんでも全然問題ない気がしたが昔、それを姉さんに言って色々お叱りを受けたので何も言わずに光さんを待った。


「おまたせ」


「もうみんな集まってるらしいから急ご~」


  


 集合場所に荷物を持っていくと、昨日の人たちに声をかけられた。


「あの、昨日のご飯、ありがとね。すごくおいしかった」


「どういたしまして」


「またね」


 それでその人と離れてみんながいるところに戻るとすぐに先生の話が始まったが先生も疲れているのか短くまとめて話した後バスに乗って交流行事は終了した。







 家に帰ったのが大体五時くらいだったからか家の鍵は開いていた。


「ただいま~……は?」


 思わず、声を出してしまう光景が家の中に広がっていた。

 以前、初めてこの家に来た時と一緒ぐらいに荒れている様子に疲れよりもイラっとする気持ちが買ってしまう。


「あ、おかえり~」


「姉さん、ちょっといい?」


「疲れてるんじゃないの?」


「うん、そうだけど……」


 それから三十分お話しした後、ほぼ涙目の姉さんに片付けをさせて俺は一人先に寝ることにした。







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