交流行事 1

 


 朝、いつも起きる時間に目が覚めた。一応、昨日の夜に用意しておいたが心配なのでもう一回確認をする。

 その後、俺はトーストと卵を焼いて朝食を作り始める。




「ごちそうさま」


 自分の分の食器を水につけ、後の片づけは姉さんに任せてから俺は買い出しに当たった他のメンバーとの集合場所に向かった。




「おはよう」


「おは~」


 集合場所にはもうすでに俺以外の買い出し班が二人とも来ていたのでそこに小走りで駆け寄った。


「ごめん、待った?」


「いいや、全然」


「一応、急ごっか~」




 三人で学校近くにあるスーパーに向かい、お昼の料理に使う食材を買っていく。


「なんで買い出しに行かないといけないんだろうね~学校で用意しといてくれればいいのに」


「みんな一緒のご飯っていうのも味気なくない?」


「確かに~」


「時間、大丈夫そう?」


「問題なし~」




 班の中で役割分担をしたときに料理当番は五人で相談した結果、料理経験のあるのが俺と宵さんだけだったので俺たちに決まった。


「私、あんまりキャンプ料理とか食べたことないんだけど今日ってどんなのつくるの?」


 レジを待っていると、料理が好きな宵さんがわくわくした表情で俺に聞いてきた。


「俺も、あんまりしたことはないんだけどさ。色々見てたら結構簡単にできそうだったからそれにしよっかな~って感じ」


「まあ、楽しみににしといて」


「ん、楽しみにしとく」


「私も楽しみ~」





 クーラーボックスに入れた食材をもって学校の正門に向かうと、ほとんどの生徒がもう集まっていた。

 そして先生たちが待機しているところには班長の光さんたちが何か話しているようだった。


「おはよ、皆」


「おはよう、雪さん」


「あれ、光は~?」


「光ちゃんは班長会議?みたいなとこ、行った」


  


 そうこうしているうちに、光さんが戻ってきて学年主任の先生が前に立って話し始めた。


「え~皆さん、今からキャンプ地に向かいます。ではクラスごとに分かれてバスに乗ってください」


「私たちのバスってどこだっけ?」


「ここだよ~」


 いつの間に移動していたのか分からないがもうバスに乗り込んでいた海さんが窓からこっちに手を振っていた。







「う~ん!!やっとついた~」


 バスに乗ってから大体二時間くらいが経った後、交流行事の会場のキャンプ場に着いた。ずっと座っていたからか体中が凝り固まっているのがよくわかる。


「長かったね~」


「光さんのトランプなかったら死んでた」


 バスでの移動中、あまりに暇すぎたため俺たちは夜の時間にやろうと思っていたトランプをすることで暇をつぶせたので他のクラスメイト達よりはまだましだった。


「今からってご飯だよね?頑張っていこ~」


 さもみんなで料理するような感じで言った光さんに宵さんから鋭いツッコミが入る。


「頑張るの、私と蒼汰だけだけどね」


「……」





 事前に宵さんから戦力外通告を受けた三人には先生のいる方に行ってテントなどを持ってきてもらうことにして俺たち二人は料理を開始した。




「「「おお~」」」


 完成した料理を目の前に俺と宵さん以外の三人が感嘆した声を漏らす。


「蒼汰ほんと料理上手」


 今回俺が作ったのはオムライスだった。前にテレビを見ているときにみて作ってみたくなったものを貸してもらえる道具の範囲でどうにか真似して作ってみたもので失敗しにくいように家で練習した甲斐があった。

 宵さんにはスープなどを作ったりしてもらったので効率よく作ることができた。

 作っている途中、ずっとなってしまいそうだったお腹が限界を迎えたのですぐに僕たちは食べ始めた。




「それじゃ、いただきまーす」


「「いただきます」」


「……おお」

 

 見た目だけでなく、味も今まで作った中で一番おいしいと思う。みんなが黙って食べ続けていることからも気に入ってもらえたようだ。





「「「「「ごちそうさまでした」」」」」


 皆が黙々と食べ続けた結果、作った料理が全部なくなってしまい昼ご飯が終わる一時間前には食事が終わってしまった。

 片付けなどは光さんたちがやってくれるので俺と宵さんは張っておいたテントの中で休むことにした。


 ちなみにテントの振り分けは俺が一人でみんなが四人で寝て、寝る前の時間は荷物の少ない俺のテントの中でみんなで遊ぶことになっている。




「二人とも、レクリエーション行くよ?」


「おっけ~……」


 お腹が膨れて比較的涼しい気温の中で雪さんが呼びに来てくれなければ確実に寝ていた気がする。


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