39 今まで39!

蝉時雨が降り注ぐ頃。

末期癌を患う妻が「ごめんなさい」と呟くようになった。

次第に喋れなくなるほど衰弱し、眠ることが多くなった。

蝉の死骸が目立つ頃。

妻が僕に手を伸ばし、

指を3本立て、OKのサインを下に向けた。

「3と…9?さん、きゅう?」

声に出すと妻は頷き、瞑する。

涙に似る汗が頬に伝った。


2023/03/21 Twitterにて投稿

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亜来輝の140字小説 亜来輝 @Tellalie_TRBY

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