#5
「そうだな、もしも俺が死んだら、ベガにこの剣をあげよう。」
「デルタさんは死ぬこと無いじゃないですか?」
「分からないぞ、新しい魔王と戦ったら死ぬかもしれない。」
40年前、そういえばワシとベガでそんな会話してたっけ。
魔剣は前の持ち主が死ぬ前に指定した人物に能力を受け継ぐことができる。なら…
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「創造・斬撃〈エクスカリバー〉!!」
ベガは斬撃の軌跡を個体として創造することで魔力を必要としない、完全疑似斬撃を完成させた。
「うわっ、面倒だなぁ。」
「〈グラビティ・エクスカリバー〉!!」
デルタは生前、数々の戦いで倒した敵から魔法を奪って剣に習得させていた。
この能力は前使用者が死ぬ直前、継承者の選択の手続きを済ませておいた場合にのみ使用できる前使用者の努力の結晶。
この手続きを行わず元の封印場所に剣を返していたのなら、次の使用者はこの能力を使うことができない。
「〈バーン・エクスカリバー〉!!」
「ガハッ!!強くなりすぎでしょ!!」
「〈ブリザード・エク…」
時刻は午後6時、リリルが隕石を数発ヴィラグに落とした時間。
響き渡る爆発音と衝撃波。
ベガは状況を理解し、すぐさま逃げる。
しかし、ベルゼルは状況を把握できない。
そもそも隕石魔法を使う魔法使い自体、この世界にはほとんどいない。
把握できなくて当たり前だ。
「炎の岩の雨…これがケンタローパーティーの実力…」
「隙ありです!!〈フライング・エクスカリバー〉!!」
「アガッ!!なるほど、斬撃魔法を飛ばすことも可能なんだね…」
「余裕ぶっているようですが、あなたの攻撃は一発も私に入ってないですよ?」
「いいや、これから入るよ。」
「どういう…」
「〈ダーク〉僕の暗黒魔法の中身を教えてあげよう。」
ベルゼルが出したのは、数百人もの死体の山だった。
「先輩って優しいから人間に技、決められないでしょ。悪魔スキル:死・傀儡」
山のように詰みあがっていた死体が動き出す。
「うっ!!ぐっ!!」
「ほら、人間は殺せない!!ほらほら、殺さないと先輩死んじゃうよ?」
「操られている人間の皆さん、許してください。あとで埋葬してあげますから。創造・足枷!!」
ベガは視界に映る死体全ての足を地面に固定する。
「おっと、でも人ごみの中で派手な技は決められないねえ。どうする?先輩、僕は大技じゃないと死なないよ?」
「悪魔スキル:破壊・空間」
ベガのもう一つの能力、破壊。
自らが設定した対象を破壊する能力、だが対象が視界に移っていないと破壊できない。
今回はベガからベルゼルまでの空間を破壊し、ベルゼルに致命傷を負わせる。
「忘れたんですか先輩?俺、悪魔スキルでいくらでも生き返れるんすよ。」
この人たちを避けながらベルゼルさんに攻撃を加えるには…
ベガは考えた。だが…
そう思った時、助けに来たのは…
「〈フレイム・ブロー〉!!」
__バキバキバキバキ!!
「ショット!!」
__ドシュッ!!
「至近斬撃!!」
ケンタローパーティーだった。
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