#6
何が起こっているのか、まったく状況が把握できない。
どうしてベガが先生の魔剣エクスカリバー持ってるんだ?
先生の特別なスキルか?
「流石、あの先代勇者の右腕の弟子なだけあるね。でも、君たちも人間である限り僕に勝つことはできないんだよね。」
俺は何が何だか分からないまま、攻撃を受けようとしていた。
だが、それが間違っていた。
この時、俺達が助けに行っていなければ…
攻撃を受けようとしなければ…
きっと…
「皆さん、逃げて!!」
「悪魔スキル:死」
俺達の命はそこで途絶えた。
「…なんかスゲー久しぶりに来た気がするんですけど…」
俺はまた天使ライラのもとに来てしまっていたらしい。
「本当に、あなたはここが好きですよね。」
「今回も俺、生き返れるんですよね?」
「分かりません。それは、ベガさんの勝敗次第です。」
どういうことなんだ?
「え、だって、俺達にはベルが…」
「あの四魔族の能力は相手を即死させるだけでなく、蘇生できなくもする最悪の能力です。」
タチ悪いな。
「じゃあ、どうすれば生き返れるんですか!!」
「あの四魔族があなたの死後、24時間以内に倒されればあなたとボブさん、ルルさんは生き返ります。」
「なんだ、良かった。」
結局生き返れんのか。
「いや、もしかしたら良くないかも…」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ケンタロー!!ボブ!!ルル!!」
即死攻撃を食らった3人の元へ、リリルとベルがやって来る。
「ちょっとどいて、今蘇生魔法を…」
「ダメです。あの攻撃でやられた人は、能力の使用者を24時間以内に殺さないと生き返りません。」
「そんな…」
リリルがケンタローの横で涙を流す。
これまでないほどに。
ベガはそんなリリルを、デルタが死んで涙を流す自分と重ねた。
「…あとで、そこのお三方にはよろしく伝えておいてください。」
彼女は覚悟を決めた。
「私のお店、好きにしていいですよ。」
彼女は微かに涙ぐんだ微笑みの表情を浮かべ、ベルゼルへと向かっていった。
「ベガ!!何を!!」
「ちょっと!!戻ってきなさいよベガ!!暇な時の話し相手がいなくなるじゃない!!」
「…別れというのは、やはり悲しいものですね。」
「さあ、僕にどうやって勝つの?」
魔族には例外なく共通した弱点というものがある。
浄化魔法だ。
普通の魔族なら浴びせるだけで倒すことができるが、死神は体内に直接流しこまなくてはならない。
体内に直接浄化魔法を流す方法はただ一つ。
「ベガ!!それはダメ!!死体も残らず消えちゃうわよ!!」
「みんな悲しみますよ!!ベガ!!」
ベガは最後の魔法を発動する前に最後の言葉を残すことにした。
「リリルさん、この町一番の私のお得意さんになってくれてありがとうございました。ケンタローさんと、仲良くやってくださいね。」
それは、リリルに向けられたものだった。
ベガは構える。剣先をベルゼルに向け、深呼吸をする。
「ベルゼルさん、なにか言い残すことは?」
「先輩に俺を倒すことなんてできるんですか?」
「今からそれを実証しますよ。〈ピュアフィケーション・エクスカリバー〉」
ベガはこれまでないほどの魔力出力を剣に乗せ、ベルゼルを地面に押し倒し魔剣を突き刺す。
魔力は互いに猛毒となりうる浄化魔法となって剣から放出される。
「まさか、ここまでするとは、思わなかったよ、先輩!!」
「こうでもしないと、あの世へ行った時に格好つきませんから。」
後ろから聞こえる泣き声を聞きながら、ベガの目からも涙が溢れる。
でも、この町の人が大好きだから。
この町を守りたいから。
その一心で、魔力を流し続ける。
「うああああああ!!」
浄化魔法によりベガの肉体も焼け始める。
どれだけ皮膚が焼かれようと
「あなたが浄化されるまで魔力は止めません!!」
「まさか、僕が…負けるのか?この裏切り者にいいいい!!」
直後、周囲に破裂音が響き渡る。
そこにはベルゼルとベガの姿はない。
遺っているのは魔剣エクスカリバーと人間界で作られたベガの服だけだった。
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