#3

「ガルド、契約だ。俺にお前の蔓を使わせてほしい。」


 俺は腰にぶら下げていた巾着の中に入った種に話しかける。


 するとそこから花が咲き…


「契約というものは代償を払わなくてはならないものだ。貴様は我に何をしてくれる?」


 そうだ、何を代償とすれば…


「代償って具体的にはどんなの…?」


「体の部位や行動、我に利益がある事なら何でも良い。」


「…今困ってることある?」


「ほう、その困っていることをやってくれるのだな?」


「その通りだ。」


「契約に自分の部位を捧げないとは、なかなかセコイことを…」


「早く言え!!」


 セコくて悪かったな!!


 でも、体の部位無くなるのは痛そうでやだし、命を捧げるのはやりすぎな気もする。


 それなら行動しかないじゃんか!!


「我は今、店の瓦礫の下敷きになっている。これが終わったら救出してもらうぞ。」


 え、救出作業…?


「肉体労働はちょっと…」


「契約成立であるな!!」


 その時、俺の人差し指が蔓と化した。


「その指、地面に突き刺さないと使えないぞ。」


 試しに土に指を刺してみる。


 ……


「何も起きないじゃねーか!!」


「どんな形にしたいのか念じろ。」


「とにかく、あの巨体のゴーレムをつまずかせて蔓で拘束できるような形がいい!!」


 すると指の形が変わる感覚がした。


 初めての感覚だ。


 やがて蔓はゴーレムの足に引っかかるほどの輪になった。


__ズゥゥゥゥゥン…


 ゴーレムが転ぶ。


「今だボブ!!その石聖剣で砕きにかかれ!!俺も今から…あれ、指が抜けねえ!!」


「指をちぎるつもりで…」


「できるかあああ!!」


「代償を大きくすれば自動で抜いてやってもいいぞ。」


「んうなああああああああ!!」


__ブチブチブチブチ!!


「痛った!!…くない…」


 流石元魔王軍幹部の回復力だ。


 向こうではボブが巨体ゴーレムに登り、コアに直接ダメージを与えている。


「〈フレイム・ロックカリバー〉!!」


 もうあいつ1人でいいんじゃないか?


 いや、ダメだ。巨体自体は崩壊しているが、コアにまるでダメージが入っていない。


「ボブ!!そのコアを取り出して遠くまで投げてくれ!!」


「?…はっ、なるほど!!承知した!!〈フレイム・スロー〉!!」


 ボブがコアを投げた瞬間、銃声のような音がした。


 まさか投げる速度が音速を超えているんじゃないだろうな…?


「リリル!!あの紅いのに撃てええええ!!」


「すいません!!どこですか!!」


 ボブ、飛ばし過ぎだよ。


 今の時刻は6時、日が沈んで辺りが暗くなっている。うん、普通に見えないよ。


 これじゃあ隕石撃ちこめない…


 という心配はしなくてよかったらしい。


 コアを投げたところからまた大きなゴーレムが出現した。


「リリル!!的が見やすくなったぞ!!」


「〈メテオライト〉!!…あれ?もう一発撃てそうです!!」


「やめろ一発でお腹いっぱいだ!!」


 リリル、固有スキルのステージが最終段階まで行ったのか!?


「〈メテオライト〉〈メテオライト〉〈メテオライト〉〈メテオライト〉!!」


「おいマジでやめろ!!町が壊れる!!」


「どうせ町はほぼ崩壊して人々も避難してるんです!!今更壊れたところで!!」


 地面に衝突し、砕けた隕石のかけらがまた隕石となり降り注ぐ。


 その影響はベガとベルゼルが戦っている場所にまで広がった。


「…おい、まさかとは思うけどベガの事忘れてねえよな?」


「〈メテオ…え?あぁ、わ、忘れてませんよ?」


 こいつ忘れてただろ。


 コアもこの感じだと溶けてるんだろうな…


 とりあえず対ヴィラグは勝負ありだ。

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