#1
今日の新聞にはワシの人生において最も喜ばしい記事が載っていた。
“冒険者ヤマダ・ケンタローとそのパーティーメンバー、史上初の四魔族撃破”
「ついにワシの弟子から出たか。嬉しいのう。さて、ぼちぼち、人類のために動くとするかのう。」
ワシは3日間かけて自らをできるだけ全盛期に近づけようと準備した。
「この年になってもここまで動けるとは…」
正直驚きだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「魔王城へ殴り込みに行く。門を開けてくれ。」
「で、ですが!!陛下からの許可がないと!!」
「じゃあ陛下に伝えておいてくれ。魔王に一発キツイのかましてくるとな。あと、魔界での人類記録に名を刻んでくるわい。とも伝えておいてくれぬか?」
「しかし………分かりました。では、この同意書にサインを、あとこの腕輪を装着してください。生存確認用と倒した魔族をカウントする用です。」
「随分と便利な世の中になったもんじゃな。」
「…もう一度聞きます。良いんですね。後悔しませんね?」
「あっ、そうじゃ、ワシの島の隠し部屋の鍵を置いていこう。ワシが死んだらこの鍵をヤマダ・ケンタローという冒険者に渡してくれ。生きて帰ってきたら返してもらう。あいつらにどうしても見せたいものがあったんじゃ。忘れるとこじゃった。危ない危ない。」
「やり残したことがあるならそれをやってから…」
「若き騎士よ、ワシのような冒険者は、いつだってカッコいい死に方を夢見るもんじゃ。では、行ってくる。」
「お気を付けて。」
きっと、もっといいやり方があったのだろう。
でも、彼が先代勇者の右腕として、後悔しない生き方はどういうものだろうと考えた時、これが一番ということを自覚した。
__ガチャ…
「魔界の空気は、相変わらず不味いのう。」
空も地面も赤紫に染まり、地平線の先に灰色の建物が見える。
魔王城だ。
「おい見ろよ!!人間のジジイがこんな所で歩いてるぞ!!」
「おぉ、すまんな若いの、墓場はどこかな?」
「あんたの墓場は今からここに…」
__ザン!!
「あ、すまん、説明不足じゃったか。貴様らの墓の話をしているんじゃよ。」
「なんだこいつ!!かかれ、かかれーー!!」
「50年ぶりの魔界じゃ。楽しませてくれよ?〈インフェルノ・エクスカリバー〉!!」
久しぶりの高揚感。
デルタはこの戦いを楽しんでいた。
「おい!!誰か魔王城に駆け込め!!今の状況を
魔族討伐数1000体突破。
その間たったの1分。
「貴様の相手はこの…」
「こんなジジイ…」
「悪魔スキル:洗脳!!このスキ…」
「この老いぼれがあ!!」
魔族討伐数1万体を突破
「ほう、今度は魔王の大軍で攻めてくるか!!いいだろう!!相手してやる!!〈ダーインスレイブ・エクスカリバー〉!!」
魔族討伐数4万体を突破。
この瞬間歴史上5位の記録を塗り替える。
「放てーーーー!!」
「矢か。53年ぶりだな。〈デュランダル・エクスカリバー〉!!」
魔族が操る矢を空中で全て切り捨てる。
その間10秒。
矢の総本数10万本。
「スピードアップしてもよさそうじゃな。」
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