#11

「さあ、幹部だか何だか知らんが、俺達が贅沢するための金になってもらう!!」


「そ?あなたにできるのかしら?私は四魔族の一人、眠りt…」


「すいませんでしたあああああ!!」


 四魔族!?魔王軍の最高幹部!?ベガと同じ四魔族だと!?


 俺達が勝てるわけ…


「ケンタロー、逃げないでください。せっかくかっこよく決まったんですから。」


 俺が後ろを向いた瞬間、リリルがジト目で俺を見つめる。


 こいつ正気か!?


 四魔族だぞ!?


「フフッ逃げたければ逃げなさい。私は魔王軍の幹部を5体も倒した、えーと名前は忘れたけど、そいつを殺せればそれでいいの。話によると今は王様の警備をしているらしいわね…案内してくれる?そしたら逃がしてあげる。」


 ………


 情報を整理しよう。


 こいつが殺したがっている人間は、魔王軍の幹部を5体倒した冒険者…


 王族の警備を任されている…


 俺じゃん。


「まさか?あなたじゃないわよね?」


 俺じゃん。


「あ、ああぁ、その魔王軍の幹部を10体倒して王族の警備に当たってるやつはここの、ケンザキってやつですね。俺は通りすがりの冒険者なだけなので…それじゃ!!」


 俺はタクミから教わったスキル、“俊足”を使用して逃げた。




「ちょっとケンタロー、何逃げてるんですか!?」


「だって四魔族だよ!?今まで倒した幹部とはわけが違うんだぞ!!」


「それがどうしたっていうんだ?俺はいつ行っても大丈夫だぞ?この筋肉が…」


「その通りだ。私も、聖剣エクスカリバーに劣らない力を持つ十束の剣をもっているし安心しろ。」


「そうよ!!ケンタロー、死んでも私が蘇生するわ!!」


 そんな励ましでは俺は動かない。


 俺は王家の護衛を…


「ケンタロー、四魔族の幹部の討伐報酬は少なくとも8億を超えます。あいつを倒せばきっと一生働かなくていいレベルですよ!!」


 べ、別に?もうお金なんて無くても…


「それだけのお金があれば夢のハーレムも…」


「ショット!!<神速>!!」


 俺が撃った銃弾は見事敵の足に的中する。


 その瞬間、ボブとルルは笑顔で敵の元へ走っていった。


「「それでこそ俺(私)達のリーダーだ!!」」


 そんなこと言われたら…仕方ねえな。


「リリルはそこで待ってろ、俺達4人であいつを遠くに誘導するから、ベルの公害魔法の音がしたら隕石をぶち込んでくれ。」


「え、ちょっとまって、私も行くの!?え、私、近距離向いてないわよ?戦えないわよ!!」


「お前は合図を出すだけだ!!いくぞ!!」


「待って待って、私が死んじゃったらあなた達の蘇生も…イヤーー!!」


 俺とベルもボブたちに釣られて敵の元へ走った。

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