#11
そういえば転生先で死んだら俺、どうなるんだ?
あ~なんか俺バチあたったのかな?
まーそうだよな。
聖剣を正攻法で抜こうとしない奴なんて勇者どころか正義の味方にすらなれないんだろうな…
あーこんなことならいっそ参加しなきゃよかった…
俺、死んだのか…
「…ロー!!タロー!!ケンタロー!!起きてください!!」
目を開けるとそこには俺にまたがって泣きながら心配をするロリっ子と…
「大丈夫か!!この鞘を握っていれば聖剣が傷を治してくれるぞ!!やっぱりお前はすごいな~十束の剣!!イヤ~ソレホドデモ??」
俺に十束の剣の鞘を握らせる、聖剣を生物だと思ってる系女子に…
「この悪魔め!!出ていけ!!ケンタローから出ていけ!!」
単純に俺が倒れてることを悪魔のせいだと勘違いして俺に無意味なステッキの浄化魔法をかけ続けるアル中女。
「卵を丸のみさせろ!!そうすれば起きる!!」
俺を生卵で溺死させようとする顔だけ文科系男…
こんな奴らが俺のパーティーメンバーだなんてな…
「皆さん!!!起きました!!!ケンタローが目を覚ましました!!!やはり私の祈りが届いたんですね!!!」
「知らん。」
「いや違う。私の聖剣の鞘のご加護だ。」
「エクスカリバーじゃないんだからそんな力無いだろ。」
「私の浄化魔法に違いないわ!!!」
「それは絶対ない。」
「やっぱり俺が卵を殻ごと丸吞みさせたからか!!」
「お前何してくれてんだ!!」
「冗談だ!!しっかり殻はとったぞ!!」
「飲ませたのは本当なのか。」
どうやら俺は仮死状態だったらしい。
「ケンタローさん!?あんた、人間なのかい!?魔力量が常人じゃ即死の0を下回ったんですよ!?」
俺が起きたとリリルが医者に報告をしたらしく、医者は目が飛び出るのではないかというほど目を見開き、俺の部屋に飛び込んできた。
俺は元々魔力量がほぼ無いに等しい。
だからきっと大丈夫だったのだろう。
一応魔力不足で死なないというチートを天界から預けられたのかもしれない。
あれ?何か忘れているような…?
「あっ!!」
俺はこの冒険で最も大切なことを忘れていた。
「どうしたんですか!?突然大きな声を出して!!」
思い出したかのように俺は叫んだ。
「結局聖剣はどうなったの!?」
封印も解かずに聖剣を抜いたからもしかしたらミッションは失敗かもしれない…
そういう不安が頭の中を支配していたところにリリルがその答えを言う。
「ミッションは成功です!!」
俺はその言葉を受けて感動した。
確かこの報酬は100万ネイツだったはず!!
パーティーメンバー5人で分けて20万ネイツ。
日本円にして40万円!!
何に使おうか!!
「これで俺も一流の冒険者だ!!!」
するとリリルが申し訳なさそうに言った。
「それが…多分そろそろ気づくと思いますけど、ここ、私達の町なんですよ。」
俺は起き上がり、病室から外へ出てあたりを見まわした。
するとあら不思議!!!いつも通る道じゃないか!!!ってことは…?
リリルが話を続ける。
「ケンタローは倒れてから1週間ずっと眠ってました。」
「…」
「まあ、今回の報酬もケンタローのおかげでこなせましたし、流石に分けてから払うのはあまりにも酷すぎるので…」
「ん?払う?払うって何を?」
「もちろん入院代、お薬代、食事代、その他諸々今回の報酬から差し引いて95万ネイツ、残ったお金は5万ネイツ、私達5人で分けると見事に1万ネイツになります。」
「嘘…」
「一番お金がかかったのがお薬でしたね。50万ネイツです。」
どうやらこの世界には保険というシステムが存在しておらず、医療費は激高だそうだ。
「そういえば俺のビクトリーカリバーはどこだ?」
そうだよ。まだ抜いてから一度も手を合わせていないじゃないか。
「これ…ですっ!!」
リリルがめちゃくちゃ重そうに剣の形をした岩を持ってきた。
剣は封印の鎖とともに石化していた。
封印が解けなくてもこの神々しさ…さすが聖剣だ。
どれどれ…?
「どのくらい重いんだ~?」
俺は聖剣に手を伸ばし、両手でその柄を握りその大きな刀身を持ち上げ…
__ガシャァァァン!!
__ベキ!!
__パリン…!!
られなかった。
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