#9

 無事にゴブリン退治は終わり、その場で高額報酬を受け取った。


 決して俺は何もしていなかった訳じゃない。


 超強力な魔法使いに指示を出し…


~~

「やったー!遠い天空に浮かびし迷える星よ、このリリルが強大な…」


「やめろ!今じゃない!」

~~


 仲間の力を最大限に活かし…


~~

「お前はリリルをおぶって宿に行け。」


「そぉんなぁ!」

~~


 そして何より自分の力を最大限に利用できるよう仲間の指揮を執った。


~~

「フハハハハ!そんなものか!ゴブリンの筋肉は!!」


「攻撃を先読みされてる!?」

~~


 …俺、あんまり必要なかったかも?


 だって誰も指示聞かないし。


 とりあえず今日は明日の聖剣チャレンジのことだけを考えることにした。


翌日


「おはようございます。勇者様。もう朝ですぞ?」


 村長が宿の部屋に入ってきて俺を起こしに来た。


「もうあなた様のパーティーメンバーの皆様は起きて朝ご飯を食べております。」


 もう少し寝かせてくれ…まだ日も上がってないじゃないか…


「ほらケンタロー!聖剣抜きに行くんじゃないんですか!?起きてください!!」


 リリルが布団の上から俺の体に飛び乗り、ステッキでバシバシ叩いてきた。


「痛い!痛い!分かった!分かったから!起きるからそこをどいてくれ!!起きれないだろうが!!」


「まったく、こんな大切な日に寝坊ですか!?子供じゃないんだから早く起きてください!」


「お前みたいなロリっ子に言われたくねえよ!!」


「私、一応19歳ですよ!?何がロリっ子ですか!?しばきますよ!?」


 なんやかんやあって起きた。


 流石に石(水晶)のついた鈍器(ステッキ)で叩かれて起きない奴はいないだろう。


 俺は朝食を済ませ、すぐに聖剣の場所へ行く準備をした。


 出発まで少し時間があったので俺は村長に疑問に思っていたことを聞いてみた。


「村長さん、そういえば昨日、“聖剣を奪われては我が国の遺産を失うことになる”と兵士団が言っていたと思うんですが、そんな大切な遺産を顔も知らない冒険者にあげちゃっていいんですか?」


「まあ、抜ければの話だが、我々はあの聖剣が無くなればきっと王都の兵士団がしつこくする事も無くなるのではないかと思っている。だから実を言うと、我々は早く聖剣を抜いてほしい。そう思っているんだ。」


 そんな村長の答えに俺はさらに質問を繰り返す。


「聖剣を“抜けば”いいんですね?」


「??君は何を…」


「あ、馬車がやってきました!では、行きましょう!」

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