#8

 先ほどの隕石魔法により狂暴化したゴブリンが走ってくる。


 だが、この村の冒険者たちは、


「今の隕石魔法、あの子が撃ったのか!?」


「なんという魔力!!将来有望だ!!」


 なんかリリルが凄い有名人になっている…


「私たちはどうすればいい!?」


 ルルが聞いてきた。


「俺たちはゴブリン達がこの村から走ってすぐのとこまで来たら攻撃を開始する。」


「分かった!行くぞ!」


 ボブが走ってゴブリンの大群へ突っ込んでいった。


「おい!話聞いてたか!?」


 ボブはうちのパーティーで唯一まともな奴だと思ってたのに!!


「ボブが行ってしまったーこれはしょうがない、私も行かなくてはー(棒)」


「話聞けよォォォ!」


 2人の話を聞かない奴らがゴブリンに突っ込んでいった。


「さっきの隕石魔法の子の仲間が勇敢にゴブリンの大群へ突っ込んでいった!!俺たちも続くぞォォォ!」


 違うんです。あいつらはただゴブリンと力比べをしたいだけなんです。


 いよいよゴブリンと人間の戦いが始まった。


「グォォォ…」


 パッと上を見ると俺はゴブリンに見下ろされていた。


「ギャァァァ!やばいやばい!!俺死ぬうう!!」


 俺は魔力が1(-)だ。しかし、俺でも変形魔法は握っているものなら思い通りに変形させられると、この前知った。


「変形魔法〈トランスフォーム〉!!この木の棒を大剣に!!」


「…?」


 目の前のゴブリンは不思議そうに首を傾げて俺の手を見つめた。


 俺が握っていたのは柄だけ大剣のほっそい木の棒だった。


 やばい!何とかして身を隠さないと!


「透明魔法〈スケルトン〉!!」


 透明魔法、それは自他関係なく透明化させられる魔法。その魔法で透明にできる面積は魔力に比例する。


 …魔力に比例するから…


「ヴァウ?」


 透明化できたのは俺の小指の爪だけだった。


「あはは…電撃魔法〈エレキ〉!!」


__パチン!!


「ギャウ!!」


 俺は華麗にゴブリンの長い鼻に少し強めの静電気をお見舞いしてとっさに岩陰に隠れた。


 ゴブリンは俺が姿を消したことで群れに戻っていった。


 俺の目線の先では果敢(?)に立ち向かう俺のパーティーメンバーがいた。


「フハハハハ!そんなものか!ゴブリンの筋肉は!!」


 火炎魔法を使えるはずのボブは何故か筋肉だけの肉弾戦を繰り広げていた。


 緊急事態だっていうのに何やってんだ?あいつ。


ちなみにルルはというと…


「攻撃を先読みされてる!?どうしてだ!?どうして私の聖剣の攻撃が回避されてる!?」


 動きがワンパターンすぎて相手にされてねえな。


 あいつは近接戦でも役に立たねえのか?


 今のところ役に立ってるのってボブとリリルぐらいだぞ?


 このメンバーで俺、大丈夫なんだろうか…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る