#7

「ゴブリン!?」


「あぁ、勇者様、あなた方は来客なのだから先に宿へ行ってください!」


 村長さんは俺たちに怪我をさせまいと宿へ避難させようとする。


 しかし、うちのパーティーには戦闘狂が3人ほどいる。その3人は村長さんの避難指示に耳も傾けなかった。


「絶好のチャンス!あのゴブリン共を隕石でぶっ潰してやりますよ!!」


「お前それはやめろ!また俺たちを巻き込む気か!」


「私の音響魔法と美しいステッキで一発よ!」


「お前は周りに人がいないか考えろよ!自分が爆心地になるんだからな!?」


「今度こそ私の斬撃魔法を撃ちこむ!」


「お前は接近戦だ。」


 俺が今にも暴走しそうな狂犬3人に突っ込みを入れていると、村長さんが心配そうな顔で言ってきた。


「ダメです!あの大群は近付いてはいけない!」


「村長さん、まあ見ててください。よし!お前ら!配置確認だ!昨日も言った通り俺とボブは…お前ら聞けェェェ!」


 ちくしょう!あいつら何も考えずに突っ込んでいきやがった!


 ゴブリンの大群はまだ地平線の果てにいる。


 ここから今リリルが隕石魔法を撃てば!


「なんだあの筋肉は!前々からゴブリンの筋肉が美しいのは聞いてはいたが、あれほどまでとは!!手合わせ願おう!」


 ヤバイ、ついさっきまで静かだったうちのパーティーのゴブリンが大群に突っこんでいく。しょうがない、俺も行くか。


「私も行きます!!」


 リリルはまだ俺の隣にいた。


「だめだ!お前はここから俺が合図を出したら隕石魔法を撃ちこめ!」


「撃っていいんですか!?」


「俺が許可したらだぞ!」


「やったー!遠い天空に浮かびし迷える星よ、このリリルが強大な…」


「やめろ!今じゃない!」


「落ちろ!〈メテオライト〉!!あっごめんなさい!少し外しました!」


「何外しとんじゃボケェェェ!」


___ズドーン…


 隕石はゴブリンの大群より手前に落ちた。


 ゴブリンの群れに向かって走っていった頭のおかしい3人は爆風でここまで飛んで戻ってきた。


「なんで戻すんだ!」


「そうよ!せっかく私の音響魔法を…!」


「あのゴブリンの肉体美!」


「お前らさっきまでの落ち着きはどこ行った!!」


「我が呼びし隕石を前にゴブリン共もどうもできな…」


 煙が晴れ、ゴブリンを全滅させた自身があったリリルは絶句した。


 ゴブリンの大群に直撃させられなかったために奴らはまだ半分ほど残っていた。それも全員怒りに震えながら…


 そのままリリルは魔力大量消耗により気持ち良さそうに眠りについた。


「グオオオ!」


「俺たちだけで何とかしよう!」


「私の音響魔法の出b…」


「お前はリリルをおぶって宿に行け。」


「そぉんなぁ!」


「ここは俺たち3人で参加する!」

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