第3章:封印されし聖剣
#1
「乗り心地はどうだ?」
「さすがボブ!最高だぜ!」
メルテ村まで歩いて3週間。
さすがにそんな時間歩く体力なんて俺にはない。
と、いうことでゾウが背負えるものはだいたい片手で持てるボブ君に運んでもらうことにした。
俺達はリアカーの上で座っていればそれでいい!
いや別にボブだけ働かせて俺達は楽しようとかそんなんじゃないし!
「なんか歩いてるとつまらないから少し走るぞ!」
「大丈夫か?」
「大丈夫なんじゃないの?ボブよ?ボブ!」
「私も彼の事だからきっと大丈夫だと思いますよ?」
「私も、ボブの筋力なら大丈夫だと思う!お前もそう思うだろ!?十束の剣!……オレモソウオモウゼ!」
「疲れたら遠慮せず言えよ?」
「心配無用だ!走るぞ!」
心配した俺がばかだった。
ボブが走り出した瞬間、リアカーの車輪は悲鳴を上げた。
ボブの足は信じられないほど速い。
それはまるで前世のジェットコースター、ド〇ンパのようだった。
「ギャー!死ぬ、死ぬ~~!」
「ごめんなさい、私酔ってきました……吐いてもいいですか?」
「我慢しろ~!」
「うわぁぁん、私のお酒が飛んでいくぅうぅぅうぅ!!」
「お前また酒瓶持ち込んだのかぁ!!」
「だってぇぇ!!」
「この速さ、剣豪の私からしたらどうってことな………ヴぉええええ!!」
「お前が先に吐くのかよォォォォォ!」
“ミシミシ…”
「ヤバイ!車輪が限界だ!止まってくれぇぇぇ!」
数分後
「おぅ、お、オヴぇェェェェ!」
「みんな大丈夫か?ゲヴォオオオ!」
「すまない。飛ばしすぎた。」
「次から気を付けてくれぇ……」
「とりあえずもう昼ですし、ご飯にしましょう…」
「そうだな。もう今日の目標地点まで到着したし、少し休んでから出発するか。」
翌日
「みんな乗ってくれ!今日は酔わない程度に走るぞ!」
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「安心してくれ!しっかり危険がない安全運転で走るぞ!」
「逆に危険がある安全運転ってなんだよ!!」
「よし!出発するぞ!」
「待ってください!まだ心の準備が!」
「大丈夫よリリル!彼に限って同じ失敗を二回もするわけないでしょ?」
「た、確かにそうですね!」
「お前らフラグみたいな会話すんな!」
「今日の目標まで行ったらみんなで酒でも飲もう。」
「お前もフラグ立てんじゃねえ!!」
「みんな捕まれ~!」
“ガタガタガタガタ!”
「もっとスピード!スピード落とせ!」
「酔いそうなので隕石魔法撃って寝ます!」
「お前も待て!魔法を睡眠薬代わりにするな!」
「もっと飛ばすぞ!捕まれ!火炎魔法応用!〈フレイムジェット〉!!」
ドカーンという轟音とともにボブの足から炎が噴き出す。いや、吹き出すというより地面に足が着くたびに爆発している。
「ちょっと!私の大事なお酒が飛んでっちゃうでしょ!?」
「お前は自分の心配をしろ!」
「十束の剣、死ぬときは一緒だ。オマエハ、イキロ!」
「まだ死なねーよ!死んでたまるか!!」
あれ?リリルが変に静かだな…
「気絶してる!?大丈夫かリリル!?」
「気絶、して、ま、せんよ?大丈夫で、す。私を、誰だ、と、思ってる、ん、ですか?隕石、魔法使い、ですよ?こんなんじゃ気絶なん、て…(ガクッ)」
「リリルー!!」
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