#9

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!なんですか!?これ!!!」


「あ、やっと気づいたか。」


~~数分前~~

「ケンタロー、リリルはあと2時間は寝続けるぞ。」


「どうしたものかなぁ...」


「俺が残ろうか…」


「いや、俺が残る。どうせ俺は今日もここで泊まるんだ。それにこの子は俺の妹に似てる。俺が妹にしてやれなかった分までこの子にしてあげようと思うんだ。」


「そうか、悪いな。」


 ボブはそう言うとギルドのドアを閉め、外に出た。


 まあ、正直なところ俺に妹なんていないんだけどね。


「さて、何をしてあげようか…グへへへへ……」


俺は近くにあった万年筆を取り、リリルの顔に〇や×などの落書きをした。


 昔からの夢だった。前世では親父にやると怒られるし母親にやるとパソコンを没収されてしまうからやらなかった。


「うむむ…何ですか?なんかあったんですか?」


 やばい起きた。ボブの奴、2時間ってなんだよ!2分もせずに起きたぞ!


「いや、なんもないさ。それよりお腹すいてるだろ?奢るぞ。(イケヴォ)」


「い、いいんですか!?」


「あ、その前にこれ、今回の報酬だ。みんなで分けることにした。」


「あ、ありがとうございます。」


 顔に落書きされてるのにも気づかず、彼女は注文を始めた。


「えーと、じゃあ、ジャイアントリーブキーゴのから揚げで!」


 この世界では前世の鶏肉と同じくらいゴキブリの肉が出回っているらしい。


 俺も先ほど食べてみたが肉はぷりぷりしていてエビのような味がした。


「お待たせしました!ジャイアントリーブキーゴのから揚げです!」


「いただきまーす!」


「ゆっくり食えy…」


「ごちそうさまでした!」


 皿に山積みになっていた唐揚げを一瞬で!?


「いやー美味しかったです!やっぱり隕石魔法打ち込んだ直後の食事は最高ですね!」


「6時間たってるけどな?」


「私、ちょっとトイレ行ってきます。」


~~


 そして今に至る。


「ちょっと!せっかく努力を労ってくれて、食事も奢ってくれて「いい人だなぁ」って思ったのに寝てる人の顔に落書きするなんて!見直して損しました!」


「まぁ、そんなに怒るなって。ほら、ジュース奢るぞ。」


「…しょうがないですね!今日のところは許してあげましょう!」


 へっ、ちょろい子供だぜ。

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