#10
「えー…っと、ケンタロー、リリル、二人とも何があった?」
「決まってるだろ。俺がリリルにプロレス技を仕掛けられてんだ。」
「ぷろ…れす?」
「俺の出身国にあるスポーツの締め技だ。この体制がそれに似ているから、プロレス技ってわけさ。」
「この男、私が疲れて熟睡しているところ、顔に落書きしてきたんです!!!」
「ケンタロー、流石にそれは…」
「ごめん!謝るからこの締め技を解いてくれ!」
「もうやらないと誓いますか?」
「もうやらない!やらないから!」
「分かりました。まぁ、私はこのまま二度と落書きできないようにこの腕を脱臼させてあげても構わないんですが、そこまで言うなら解いてあげましょう。」
「へっ、チョロ。」
「ふん!」
「ギャァァァ!」
「ねーねー、今面接ってやってる?」
俺がリリルに締められていると初対面からタメ口の女がやってきた。
「あぁ、やっているが。」
ボブが勝手に答えやがった。
「ケンタローさんでしたっけ?私をパーティーに入れてください。」
突然真面目なトーンで敬語になった!!
「えー、ではまずカードを見せてもらえますか?」
「はい。」
「えーっと、どれどれ?」
“冒険者名:ベル・ジリリ・ノイズ、使用魔法:音響魔法、年齢22歳”
「俺と同じ現象系か!心強い!合格!」
「おhhーい!勝手に結果出すな!」
俺は小声でボブに言った。
「ああいう感じの女はダメだ。俺の感がそういっている!」
「すいませぇーん!早く結果教えてくださーい。」
「不合格です。」
「え!?なぁ~んでよぉ~!」
あのキャラはダメだ。俺の国の就活であれだったらかなりやばいぞ。
「ケンタロー、そんな即断したら可哀想ですよ。」
「そうだぞ。何もそんな即断することないだろ。」
「じゃあ、せめて私の装備だけでも!」
「まぁ、見るだけなら。」
「はい、これです!」
彼女は腰に挿していたフルートを取り出し、机の上に置いた。
「ほかの装備は?」
「ないです!」
「不合格。」
「また即断された!でも、これはただの横笛ではありません!私の特注の笛型ステッキなの!」
「ステッキ!?」
「ステッキと言いましたか!?」
あーなんか2人が食いついてる。
ちなみにステッキとは、一人一つしか魔法を習得できないこの世界に存在する神器の一つ。
神器にも種類があって、主な神器は聖剣、魔剣、杖、ステッキの4種類がある。
この世界では魔法は非生物にも習得させられるようで、習得させられる上限が人間よりもはるかに高いため、大体の冒険者たちはみんな持っているらしい。
その中でも魔法を習得させるために神々が作った物が神器の聖剣と魔剣だ。
そして杖とステッキは人間が聖剣と魔剣の技術を模して作った人工神器だ。
「ちちち、ちなみにそのステッキにはどんな魔法が入っているのですか?」
「魔王討伐に欠かせない魔法、天界系で唯一消滅していない魔法、その名も浄化魔法!」
「よし採用だ。」
ボブ!?
「私も同意です。ケンタローも同意ですよね?」
リリル!?
マジか…そういえば、魔王は浄化魔法がないと倒せないんだった。
いよいよこのやばい女を入れないといけなくなってきた。
「ど、同意、だ。」
「やったー!ありがとうね!この恩は一生忘れないわ!」
本当は入れたくなかったけど、入れないと魔王は倒せないし…しょうがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます