#7

 俺のチームに仲間1号が入ってきた。


「俺の名はボブだ。ボブ・ジュート・ジェット。22歳だ。」


「よろしくな!ボブ!俺はケンタローだ!ヤマダ・ケンタロー!21歳!」


 ギルドの隅の席で2人で自己紹介や、収入の計算をしているとそこへ一人の女の子が駆け寄ってきた。


 見た目から推測するにだいたい9とか11とかだろうか?半目開きで目の下にクマを作り、藍色の髪のミディアムヘアーに流れ星のような髪飾りを付け、澄んだ紫の瞳と服装は真っ黒の魔女のような服装だった。


「ここで新しいパーティーの求人を募集していると聞きました。このポスターを張ったのはあなたですか?」


「あぁ、俺だけど…」


「ここのパーティーに入れさせてくれませんか?」


 こんな小さい子を!?


 さすがの俺だってこんな小さい子をこんな危ない業界に引きずり込むのはダメだって言うことぐらい分かってる。


「悪いな、嬢ちゃん。このパーティーは君みたいな幼い子が入るところじゃないんだ。この飴ちゃんでも持って他をあたってくれ。」(イケヴォ)


「カッコつけて幼く見える私を追い払おうとしているところ申し訳ないですが、私、19です。」


「そう、いい子d………」


 あれ?今この子なんて言った?


 19歳!?


 こんな小さい子が?


 俺と2歳差、だと!?


「ゴッホン!え~っと、とりあえずカードを見せてもらおうか。」


 そうだ。カードを見せてもらえば解決する話。


“冒険者名:リリル・メイ・ジュイス、使用魔法:隕石魔法、年齢19歳”


「本当に19歳だと!?」


「先ほど私を“幼い子”と呼んだこと、謝ってくれないですか?」


「申し訳ありませんでしたァァァァァァ!!!」


「早ッ!プライド無いんですか!?」


 いちいちムカつく小娘だな…プライドなんてとうの昔にオタク部屋に置いてきた。


「ちょっと待て、この子、隕石魔法使えるぞ!」


 なんかボブが興奮してるな………


「隕石魔法ってそんな強いの?」


「強いも何も、数ある魔法の中で最強の破壊力を誇ると言われている魔法だぞ!?」


「マジかよ…てっきりでかいバッタ1匹潰す程度だと思ってた…」


「失礼な!!!」


「ケンタロー、気象系の魔法はほかの系統の魔法よりも応用が利きづらいぶん、攻撃範囲が広いというのが特徴だ!いいな~、気象系。」


「あれ?魔法って一つしか持てないの?」


「お前は特異体質なんだ。普通の人間は複数の魔法が使えないように作られている。」


「え!?この人複数の魔法使えるんですか!?」


「そうだぞ!?どうだ?すごいだろ!?」


「すごい…1回だけカード見せてください。」


 まずい、確かに俺は全ての魔法が使える…だが、魔力は皆無なのだ!!!


 これ見られたらこのロリっ子に見下される!!!


「俺にも見せてほしい。」


 やばい!ボブもまだ俺の魔力レベルを知らない!


「え?魔力少な。」


「ま、まぁ、そう落ち込むこともないと思うぞ。ケンタロー。」


「見られた…俺のレベル見られた…」


「クスッw…いや、全然恥ずかしい事じゃないと思いますよ?ククク…魔力はともかく…全部の魔法使えるなんてwすごい事じゃないですか!w」


 くそ!こいつはあとでバケモノの餌にでもしてやろう!


「まぁ、そう怒るな。ケンタロー。さっき良い依頼をもって来たんだ。」


「おう、どんな依頼だ?」


「ジャイアントリーブキーゴを倒す依頼だ。」


「この時期になるとよく群れて行動するあいつですね。」


「あれって8匹倒さないといけないんじゃなかったっけ?」


「あれじゃ誰もやらないから何匹でもいいということになったらしい。」


「早速、私の出番のようですね……」


 この小娘超乗り気だ。


 あとでジャイアント何とかに食わせよ。

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