#6

翌日


 ギルドの人たちはお金をあまり持たない人が多いらしく、ギルド地下に無料で借りられるベッドがあってそこで皆一夜を過ごしている。


 そんなことは置いておいて、求人で人が集まるまでは簡単そうな依頼を受けてみよう。


 何々?


“山に出たジャイアントリーブキーゴ8匹を駆除してください。 

報酬:8万ネイツ”

“草原を飛び回るフライバッタ何匹でもいいから駆除してください。 

報酬:9万ネイツ”

“湖のオオタマジャクシを捕獲してください。ただし、殺さないこと。 

報酬:8万ネイツ”


「なに?ギルドって駆除業者なの?」


 とりあえず俺は一番簡単そうな依頼、フライバッタの駆除を受けることにした。


 でも、俺はこの依頼をなめてたみたいだ。


 いざやってみると命の危険を感じる。


 次から次へと胴体がエビフライみたいなでかいバッタが俺を食いに来る。


 そんな情報、俺の頭には入れられてないぞ!?


 天界め!中途半端な情報だけねじ込みやがって!


「火炎魔法〈フレイム〉!……あ~えっと、水流魔法〈ウォーター〉!……クソガァァァァ!」


 なんだよこの威力!


 火炎魔法はマッチの火力だし、水流魔法なんて水鉄砲かよ!!


 そうこうしているうちにフライバッタは飛んでくる。


「隕石魔法〈メテオライト〉!!さすがにこれで……」


 フライバッタの上空に大きな魔方陣ができる…が…


「隕石が小さすぎる!!落ちる前に燃え尽きてどうすんだよ!!」


 気が付くと目の前にフライバッタが飛んできていた。


「異世界生活もう終わりかよ!!」


 もうダメだと諦めかけたその時……


「フレイムボール!」


 遠くから誰かが火の玉を飛ばしてくれたらしい。


 その球はフライバッタに直撃してフライバッタはそのまま地面に倒れた。


「大丈夫か!?」


 どうやら昨日助けてくれたムッキムキの男が駆けつけてくれたようだ。


「大丈夫っす、あざっす!」


「これを使え!」


 男が渡してきたのは片手剣だった。


「俺、運動オンチです!」


「今はそんなこと考えるな!」


「分かりました!」


 こういう時は斬撃魔法だ!


 俺は思いきり剣を一番遠いバッタに向かって振った。


 しかし、斬撃を飛ばせるはずの斬撃魔法を俺が使うとほんの数センチしか斬撃は飛ばない。


「何でだよォォォォォ!」


 俺はもう生きることをあきらめ、片手剣をバッタに投げつけた。


 すると、あら不思議!


 バッタの脳天を俺の片手剣が貫いた。


 なんか、倒せちゃった。


「流石、新しいパーティーを設立させる男だ。」


 いや、運なんですよ。これ。


「俺は昨日から君のパーティーに入ろうと思っていた。」


 なんと!?


 この顔以外は強そうな大男が俺のパーティーメンバー第1号になってくれるだと!?


「入ってくれるんっすか!?」


「いいか?」


「いいに決まってるじゃないですか!」


「あと、俺にはタメ口で頼む。敬語は慣れないんだ。」


 よし!これでとりあえずたくさん金稼げそうだ!


「おう、よろしくな!」(イケヴォ)

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