中間テスト

中間テスト期間が始まった。中学最初のテストで、あまり凝った問題は出ず。真面目に授業を受けていた詩織には難なく解答出来た。


「しーおりっ!どうだった?」

今日も元気な萌香に「まぁまぁかなぁ」と悠長に返答する。萌香と話す事で緊張がほぐれ元気になる。本当にありがたく、次のテストも頑張れた。



---


テストが終わって、各学科で答案用紙が返却された。どれも大きなミスもなくほっとするとともに、難易度的にそう高くないので、皆似たり寄ったりな点数だろうと詩織は思っていた。全体を見ても同立順位の人はそこそこいるだろうと。


掲示板に順位が貼ってあるから見に行こうと萌香に誘われて行ってみた。


『1位 八木原 詩織』


「…へ?」

おかしな声が出た。紛れもなく同立順位はいなく、単独1位。何故に?間違えてない?


「『へ?』じゃない!1位って何?!どうして自覚ないの?!!」

萌香に激しく揺さぶられ問い詰められる。が、知らない。普通に授業受けて、普通にテスト受けただけ。って、揺さぶらないで。クラクラする…


「おや?これはこれは。首席おめでとうございます、八木原さん。萌香さんも頑張りましたね。」

「朝日先生!♡」

朝日先生。2年生担当の先生だけど、かっこよくて爽やかで優しくて全学年の生徒から人気の先生。萌香も名前呼ばれて目をハートにしてる。


「ありがとうございます。」

「あまり実感がないようですね。1年生の先生方も八木原さんは優秀で真面目に授業を取り組んでいると言っていましたし、その成果ですね。自信を持ってください。」

社交辞令的にお礼を言ったら、爽やかに褒められた。


「萌香さんも良い所までいきましたね。」

「頑張ったんだけど分からない所があって。朝日先生に教えてほしいなぁ。」

「ごめんねぇ、今仕事が立て込んでて。担当の先生に言っとくね。会議始まっちゃうからまたね。」

甘える萌香の頭をぽんぽんして去っていった。それだけでメロメロになってぽーっとする萌香。いつの間に『萌香さん』って呼ばれる関係になったんだろう。


教室に帰って友達に朝日先生との出来事を自慢する萌香と羨ましいとはしゃぐ友達。ぼんやりとやり取りを聞きながら窓の外を見る。空を飛ぶ鳥の方が私には羨ましいと思いながらぼーっとしていた。



「まぁ!首席ですって!おめでとう詩織、よく頑張ったわね!」

「詩織おめでとう!パパは嬉しいぞっ!」

「2人ともありがとう!」

帰宅後、師匠代とママにテスト結果を報告したら物凄く喜んでくれて沢山褒めてくれた。頑張って良かった。2人が喜んでくれる事が嬉しい。


「お祝いにケーキを食べよう!」

そう言ってすぐに出掛けた師匠代の後ろ姿をママと笑いながら見ていた。

数十分後、沢山のケーキを買ってきた師匠代。兄弟弟子達と分けて、やっと食べ切った。

裏で師匠代は『多すぎ』とママにお小言を言われていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る