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「ああっ! 新聞部に先越されたってさ! 『オカルト部の走る弾丸・虎丸 迅』の名折れだってさ」
オカルト部の部室で、虎丸が地団太を踏んだ。
「まあ、落ち着き給え。小生も、昨日の今日で新たな怪異が起こるなどと思っていなかったのだから致し方ないんだなあ。確かに、新聞部・部長の高増氏の行動力は天晴といったところだが、今回の事件には『怪異』が関わっているのだから、我々オカルト部に分があるんだなあ。何と言っても、こちらには、本物の霊媒師がいるのだからなあ」
そう言って、佐茂は二家と美魂さんの方を見た。すると、二家と美魂さんの顔に、雨が降る前の空のような不安の色が広がった。
「昨日、あの後、部室の入口の近くで、ともこさんと、ちかさんと、たつおさんが浮遊していたので『ただしこさん』のことを尋いてみたですが……」
オカルト部の部室には、美魂さんが張った結界があり、霊たちが部室内に入れないようになっているのだ。
「ともこさんたちは、何て言ってたの?」
虎丸が身を乗り出して尋いた。
「まず、三人のことについて触れておくですね。この学校は、いわくつきの土地の上に建てられていて、何かと霊たちが集まりやすいのです。『類は友を呼ぶ』ということわざは霊たちに関しても当てはまることわざでして、何らかの理由で成仏できない霊たちが引き寄せられるようにして此処に集まるです。此処に棲みついたからといって、必ずしもこの土地や学校に縁があるというわけではないですが、三人はこの学校に縁があるです。ともこさんとちかさんは、かつてこの学校の生徒でした。そして、たつおさんは、この学校の事務に携わっていたです。学年や立場は違えども、三人は『二十四年前にこの学校で痛ましい事件』が起こった時にこの学校に在籍していたです」
二家は苦しそうに話した。それを見兼ねた佐茂が、二家と選手交代をするように話し始めた。
「『二十四年前の事件』というのはこれのことなんだろうか?」
そう言いながら、ノートパソコンの画面に表示された古い新聞記事を一同に見せた。
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