パレット
@kufel
灰色
「ただいま」
「……」
少女はドアを開け無意識に言葉を発する。しかし、部屋からは返事はない。少女は鞄を下し、制服から部屋着に着替えた。そして、ソファーに座り、本を読み始める。
しばらくして、少女は本からその無機質な顔を上げ、台所の方へ行ってレトルト食品を温めてお皿に出し、黙々と食べ始めた。今日のメニューはカレーのようだ。しかし、それは少女にとって重要なことではない。
食べ終わった後、少女はお風呂に入るようだ。少女は髪から洗い始めている。そうして全身を洗い終わると湯船に浸かって数字を数え始めた。
「178……179……180……おわり」
そういって少女はお風呂から上がった。この数字を数える行動は少女の習慣の一つだ。少女はそのあと服を着て、ベッドの上に寝転がり、また本を読み始める。
しばらく経って、少女は本をベッドの横にある机に置いて電気を消した。少女は寝るようだ。そのあと、少女の寝言が聞こえてきた。
「お父さん……お母さん……」
少女は夢で両親に会っているようだ。そんな少女は心地よさそうに寝息を立てていた。
夜が明けるころ、少女はむくりと起き、学校の準備を始めた。そのあと、朝食を食べ、身だしなみを整え、家を出る。
「行ってきます」
「……」
少女も無意味であるということはわかっている。しかし、それをやめられないようだ。
登校中、少女はいつも辺りの様子を見ながら移動しているようだ。変わったもの、変わらなかったもの。
学校に着くと少女はまっすぐ自分の教室に向い、教室に入ると、すぐに自分の机に座る。そんな少女はクラスのほかの生徒から見られているようだった。少女は視線を気にせずに空を眺め始めた。
授業が始まると、少女はノートを開き、教科書の先生が言ったページと後の数ページを流し読みし、ノートにまとめ始めた。そしてまとめ終わると、ノートの違うページに今日の登校中に見た動物の絵を描き始めた。少女の興味を引くものはなかったようだ。
昼休みも少女は独りで過ごすようだ。少女が人気のない場所へ向かう途中も他生徒から視線を向けられる。少女は気にせずに移動をし、昼食を食べて午後の授業に臨んだ。
下校中、少女は登校中にネズミを見た場所の近くに動物の死骸を見つけた。その死骸はネズミのもので、車に轢かれたようだった。
家に着くと、少女は鍵を開け、扉を開けて中へと入っていった。
「ただいま」
「……」
今日も返事は無いようだ。
パレット @kufel
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。パレットの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます