第3話 打撃

一回裏


「しょぼくね」

「これが東皇の二番手なのか?」

「流石にちげぇだろ」


1番を打つ俺は2番を打つ龍空と話す。

マウンドに上がった投手はとても使えそうに見えない。


「見るまでもねぇ」


一番打者の仕事は相手の引き出しを一つでも多く引き出させることだがこのレベルなら龍空達は簡単に攻略出来るだろう。

俺は踏み込み、フルスイングした。

打球はライトへ


「ッシャー!」


舞い上がった打球はライトの防球ネットに突き刺さった。

俺は雄叫びを上げ、激しくガッツポーズした。


「ナイバッチ、どうだ?」

「余裕」


龍空とハイタッチを交わした俺はニヤつく。


「ナイバッチ龍空」

「余裕だね、こりゃ」

「ピッチャー交代」


ベンチに腰を下ろすと俺と同じように龍空はツーベースを放った。

柚葉はニコッと微笑む。

そして、豹馬、瑠偉、成宮も続き、点差は4点に。

相良監督がベンチから出る。


「はぁ!?」

「あいつショートかよ」

「お前ら野手打った程度で浮かれんな」


打たれた投手はショートと変わり、相良監督が俺らを見て、ニヤつく。

マウンドに上がったのは見たことがある投手だ。

あいつは確か・・・

 

「二番手投手、川上大河。

確か注目の二年だぞ、アイツ」

「こっからだな」


俺が倒すべき先輩ってわけだ。

心が滾る。

俺はキャッチボールをするため、ベンチを出る。


「えぐいねぇ」

「いい投手だな」


6、7、8番は手も足も出なかった。

川上のストレートは146km/hは出てそうだからしゃーないか。


「やろうぜ、先輩」


俺は4、5のモブを三振に切り、川上先輩を迎える。


「おもしれぇ」


初球ストレートを投げ込むと先輩は造作もなくカットした。

俺はニヤける。


「スライダーならどうっすか!」


俺は腕を振り切り、インローに鋭く切り込むスライダーを投げた。


「当てるんだ、でも、俺のショートは・・・」

「龍空!」


攻略できる程度のスライダーは捉えられた。

打球はショートへ。


「は?なんだあの肩」


完璧に捌いた龍空は見せつけるようにMAX139km/hの爆肩を見せつけた。

先輩達は驚く。


「ナイスバケモン」

「もっと来い」

「気が向いたらな」


俺は龍空とグラブタッチを交わし、駆け足でベンチへ。

こいつがいればそうそう内野安打にはならない。


「ほら、出てこいよ、馬原。こいつじゃ俺は止められないぜ」


俺はフルスイングで川上のストレートを粉砕した。

打球はバックスクリーンに直撃し、先輩達を唖然とさせる。


「神室、行ってやるよ」

「待ってんぜ、せ・ん・ぱ・い」


ニヤつく馬原。

俺は睨みつける。

ーーやっと、出来んなぁ。


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