引き出しはダンジョンでした
愛莉の部屋にある勉強机。それに付属されている3つの引き出しと一番下に底が深い引き出し。
「上から順番に行くか」
俺は罪悪感と好奇心を抱きながら引き出しを引く。
「うわっ」
思わず声が出てしまい勢いよく締める。
開けた瞬間に目に入った膨大な数の写真。それも、俺のだ。
どれもいつ撮られたのかすら分からないような写真だった。
というか、これいつから撮ってるんだ?中に中学生の時の俺もいた気がするんだが。
愛莉がヤンデレになったの最近だよな?
……あまり深く考えないでおこう。
「次行こう……かな?」
迷った。
だって、1段目からこのインパクトだぞ?
これを超えるものがあったらもうこの部屋に住めないぞ?
俺は、2段目の引き出しを引く。
「これは、日記か?」
中には一冊の淡いピンク色のノートがあった。
俺は手に取り1ページだけ開いてみる。
『今日のゆうくんもいい匂いがした。体育があったんだけど、終わった後の汗の匂いも――』
俺はゆっくりと日記を閉じた。
「ふぅー」
何これ。
脳が壊された。
何これ。
俺の観察日記?嬉しいか嬉しくないかで言ったら怖い。
本当にこれは見なかったことにしよう。
3段目行こう。
俺はごくりと唾を飲む。
引き出しを引く。
「ひぇっ」
変な声が出た。
閉めたかったけどこれは閉めちゃダメだ。
ちゃんと把握しないとダメなやつだ。
だって、婚姻届があったんだから。
それに愛莉の名前と俺の名前が書かれている。
……まさか、俺が18歳になった瞬間出そうとか思っていないよな?俺、この件について全く知らないんだぞ?
よし、これについては本当に話し合おう。
「最後……行くか?」
行けるか?
正直限界だぞ?
……つか、どうしてこんなに切羽詰まってまでやってるんだろう。
やめだやめだ。俺はおかしくなりそうになるし、見られた愛莉は悲しくなる。お互い良いことないしな。
もう3つ見てしまったし遅いかもだけど、最後の引き出しぐらいは見ないでおこう。
ごめんな、愛莉。1段目と2段目については勝手に見てごめんな。
3段目は話し合おう。
……最後の引き出しは健全なんだろうか?
だって、1段目にかけて下に行く度にヤバくなって行ってるんだぞ?
最後は婚姻届よりヤバいのは本当にヤバいのでは?
「……み、見るべきか?」
見なければ。いつのまにか最初の興味本位は使命感に変わっていた。
震える手を押さえながら引き出しを引く。
「……箱?」
中には両手で持てるサイズのダンボールの箱が入っていた。
上には『宝物』と大きく書かれている。
俺はそれを取り出し中を開ける。
「手紙か?」
中には一通の手紙があった。
見ていいやつかな?俺は数秒葛藤して見るを選択した。
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