優良が海で遊んでいる時、幼なじみは……
「おかしい。2日も家にいないなんて」
ゆうくんがどこかに行って2日が経った。
友達の家は可能性としては薄い。だって、出ていくときにそんなに大きな荷物は持っていなかったから。
なら、どこに行ったの?
「愛莉ちゃーん、お昼食べていく?」
優子さん――ゆうくんのお母さんが部屋に入ってきて聞いてくる。
「あ、お願いします」
私はお言葉に甘えることにした。
久しぶりの優子さんのお料理!楽しみだなぁ。
小さい頃からゆうくんの家に遊びに行く度に優子さんが手料理やお菓子を作ってくれた。
ゆうくんと似て優しい。いや、ゆうくんが優子さんに似たのか。
「はーい。じゃあ、そのままで待っててねー」
「手伝いますよ?」
「いいのいいの。せっかく来てくれたんだから、ゆっくりしていって」
罪悪感が……。
でも、優子さんはそういうの譲らないんだよね。
「わかりました。ありがとうございます」
「うんうん。じゃあ、ご飯ができたら起こしに来るからね」
「寝ませんよ」
「ふふ、本当かしら」
優子さんが笑いながら部屋を去っていく。
私は毛布にくるまった。
私は今ベッドに横になっている。
大好きな大好きな愛おしいゆうくんのベッドに。
「すぅーー、はぁ、ゆうくんに包まれてるみたい……っ」
ゆうくんどこ行ったの?
もしかして、行方不明?いや、誘拐?
あ、でも優子さんは特別取り乱してる様子なかったなあ。もしかしたら、優子さんはゆうくんの居場所知っているのかも。
◆◇◆◇◆◇
「ああ、優良ね。優良なら、えっとぉ、ひかりさん?って子の家に泊まるとか言ってたわ」
優子さんとお昼ごはんを食べながら、私は聞いてみた。
「ゆうくんはどこに?」って。すると、予想外の答えが返ってきて一瞬止まってしまった。
……今まで、傍観者みたいに見てたのに。いや、あの学食の件は別だけど。
ひかりがゆうくんに想いを寄せているのは知っていた。
でも、本当に今まではどこか余裕のある様子だったでしょ?
今さらどういうつもりなの?
「優良ったら酷いわね。こんなにも、可愛い愛莉ちゃんがいるってのに」
優子さんが少しだけ怒っている。
でも、その声は私の耳には入ってこなかった。今頭にあるのはひかりのこと。
ただ遊びに行っているだけなのかもしれない。
でも、どこか不安になる。
そして、それはひかりも同じなんじゃないかな?
だからこそ、自分しかいないところに閉じ込めたんじゃないかな?
「ゆうくん……」
嫌だ。ゆうくんだけは盗られたくない。
「……どうして盗るの?」
違う。ゆうくんは私の。
「許せない」
私のゆうくんを盗ったひかり。許さないから。
「ごちそうさまでした。優子さん、美味しかったです」
私は席を立つ。
「ありがとう。お皿は置いといていいわよ。それで、まだ優良の部屋にいる?」
「いえ、今日はもう帰ります」
やることができたから。
「そう、また来てね」
「はい」
いつか、お義母さんと呼びます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます