本物だ……っ!
「……っ?」
目を開けると知らない天井があった。
「目覚めましたか?」
隣から優しい声が聞こえる。
「ひかり……ここは?」
少しだけ記憶がある。
何故か、倒れたんだ。だから、たぶんここはどこかの寝室だと思う。
「別荘です」
どこかの寝室だとおも……
「え?」
「別荘です」
寝室なんだろうけど、まさか別荘だったとは。
俺は確かにひかりの家を尋ねた筈なのに。どうしてだ?
「優良さんが寝ている間に移動しました」
「あ、そうなんだ」
え、さらっと言ってるけど誘拐じゃ……?
今気づいたけど、耳をすませば海の音が聞こえる。
本当に別荘らしい。
え、誘拐じゃ?
「ど、どうして?」
「遊びましょう?」
いや、笑顔で言われてもなあ。
「親に連絡しないと。もう夕方だろ?」
「それでしたら、忍に頼んで連絡しましたよ?」
なんでもなさげに言うが、連絡先はどこから仕入れたんだろう?
「そっか。じゃあ遊ぼうか」
俺は考えるのを止めた。
「はい!」
今日一番の笑顔でひかりが頷いた。
「あ、それから私の許可無しに部屋から出ないでくださいね!あと、スマホも一応預かっておきます!」
え、監禁じゃん。
「あの、こういうのって俺の親の許可は……」
「いりますか?一応、優良さんはしばらくこちらで遊ぶと連絡を入れましたが」
「えっと、こういうのって警察沙汰になったりは……」
「お父様の力で揉み消してもらいます」
本物だ……っ!本物のヤンデレだっ?!
愛莉が可愛く見える程のヤンデレだ!
ひかり、まさかこんなにも……
「俺とそんなに遊びたかったんだな……っ!」
まあ、ひかりの場合は俺のこと好きではないからヤンデレというのかは知らないけどな。
「はいっ!」
ひかりが満面の笑みで頷いた。
「お嬢様、優良様、夕食ができました」
「「はい」」
流石に夕方だしな。明日遊ぼう。
◆◇◆◇◆◇
ここは西園寺家が持っている別荘のひとつで、プライベートビーチが付いているらしい。
当然、別荘も広くて俺は数多くあるうちのひとつの部屋で生活しろとのこと。
ベッドがふかふかで窓の外には海が広がっていた。
どっかのホテルかな?
服とかどうするのかって?
これなんとびっくり。なんかタンスの中にあるんだよ。サイズぴったりの服が。下着も含めて。
東雲さんに新品だからそれを使って、と言われた。
なんか深く考えない方が良さそうだから、何も考えないことにした。
別荘のお風呂はお風呂じゃなかった。大浴場だった。
お嬢様すげぇ。
俺はそんなことを思いながらベッドで眠った。
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