ー31ー羽
視線の端。
芭蕉の葉が揺らぐ。
砂利を打つ音が、
山間に響く。
轟音を裂く。
どうにも出来ない。
先代の姿をした
飛び去る
八角堂に
既に視界に捉えることもなく。
必死の叫びは聞き届けられた。
この世のモノではなく。
あの世のモノでもなく。
自然のモノでもなく。
妖怪やあやかしの類でもなく。
名も知らぬ『
先代は焼かれ姿を盗られた。
覚悟はしていたつもりだった。
今は
あれはなんなのだ。
1000年以上前からある
この寺と。
古くからある蔵書の類と、
保管してある蔵を守る為に
存在する寺の。
人を
ここに
ぼんやり、としか考えていなかったのか。
人を
あんなものから守れるのか。
無理だ・・・
寺が出来た時には
既にいた
八角堂に
願うしか出来なかったではないか。
どのくらい
八角堂の前に座り込んでいたものか。
赤い鳥の羽が落ちている。
「ああ、人の子は助かるのか」
息をつく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます