ー28- 鈴
轟音の中を
割き響く鈴の音。
ち、り・・・ん。
見掛け、視て。
走り出す先代を
必死に追い、
先代は驚く程に足も速く、
思いも寄らぬスピードで
坂を駆け抜け、
山を登り抜けー
ちり・・・ん。
伸ばす先代の手に
絡む
先代の口に
眼に。
ちり・・・
ん。
先代が燃え上がっていた。
一瞬で
炭となり。
焼け跡となり。
豪雨と、その轟音。
今どこにいるか判らない程に
白み
鈴の音。
先代が焼け落ちた。
視えていたモノは。
焼けた、黒い痕跡となった先代を、
見。
声もない叫びをあげる
見。
先代だった
影だった場所に貌がある。
焼け痕になった先代の顔が
先代は
異形の
成り果てた地で
異形の狭間の
ちり・・・ん。
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